【和歌山】他人の妬みは蜜の味とかいう極悪非道のパンライド【184km】

自転車

前書き

2019年10月24日木曜日

仕事が終わらんと嘆きながら重たい頭でキーボードを叩いていたところ、おもち氏(@noyuyuya)からメッセージが送られてきた。

おもち「土曜日はお暇ですか?」

KeiOS「仕事次第かなあ、どこか行きます?」

おもち「実はかくかくしかじかで……」

KeiOS「日本語でおk」

おもち「龍神パンライド、先にやりません?」

メッセージを見た瞬間、部屋でひとり大爆笑していた。だめだこいつ……真性のワルだ……。

龍神パンライド。

それは、和歌山県田辺市の龍神村にあるパン屋へ行こうというライド計画のことである。

企画が立ち上がったのは2019年の8~9月頃。その後、悪天候による延期などに見舞われた結果、ようやく11月2日に開催することとなった。

しかし、その日は運悪くおもち氏と私の都合がつかなかった。当日はSNS上でみんなの楽しんでいる姿でも追いかけるか……などと思っていたところに、おもち氏の提案が入った次第である。

みんなが楽しみにしているパンライドを一足先に堪能し、悔しがる姿を心を和ませる。なんという悪魔の所業。

KeiOS「行きましょうフヒヒwww」

かくして、極悪非道のパンライドが幕を開けた。

なお、計画立案、製作、進行、演出、その他諸々の担当はすべておもち氏であり、私は彼の用意した舞台にたまたま乗っかっただけであるということを、ここに記しておく。

俺は悪くねえ。俺は悪くねえっ!

出発方法をどうするか

2019年10月25日金曜日

とりあえず仕事を力技で納めて一息つきながら、翌日の出発方法をぼんやりと考えていた。

Googleマップで龍神村の位置を確認しながら、どうやって行くかをしばし検討する。といっても、輪行か自走の2択しかない。

龍神村は和歌山県の(ほぼ)最高峰、護摩壇山の麓にある村だ。ちょうど和歌山県と奈良県の県境にあり、紀伊半島のほぼ真ん中に位置する。

紀伊半島は日本最大の半島であり、紀伊山地を中心に険しい山が多く、平野部は少ない。交通の便も悪く、幹線道路も鉄道も海岸線沿いが中心。

こういった場所は、自転車で行くには難易度が上がる。何かトラブルが発生したときに容易にエスケープできないからだ。

万が一、山中で立ち往生してしまった場合はバスかタクシーを使って輪行するしかない。

もちろん、バスはほとんど走っていない。運良くタクシーをつかまえられたとしても、結構な代金となってしまうだろう。

目当てのパン屋の開店時間は11時だ。わりと人気の店だと聞いていたので、ランチタイムの混雑する時間は避けたい。

帰還ルートのことも考えると、やはり11時台には到着しておきたいところだ。その時間帯に紀伊半島の真ん中近くへ辿り着こうとした場合、始発を使って最寄り駅まで輪行で行くのがベストだろう。

一応、自走も視野に入れていた。しかし、私の走力では少なくとも午前3時には家を出発する必要がある。前日も仕事があった上に、きちんと寝られるかどうかが心配だ(起きるのは問題ないが、あまりに早い時間に起きようとすると、逆に寝られなくなる)。

というわけで、当日は輪行で最寄り駅まで行くことをおもち氏に伝えて、布団に入った。

メガコンビニとかいう謎の存在

2019年10月26日土曜日

あいにくの曇天である。しかし、おもち氏が引いたコースはそれなりの獲得標高になっていた。日差しがないくらいでちょうど良いのかもしれない。

天王寺駅から阪和線に乗り、和歌山駅まで向かう。そこから紀勢本線に乗り換え。記憶が確かなら、最後に紀勢本線に乗ったのは20年以上も前のことだ。

車両には年輩のサイクリストの姿があった。天王寺からずっと同じ車両に乗っていた人だ。少し遠くからその姿を確認していたが、乗り換え先も同じだとは思わなかった。

その人は箕島で降りていったので、もしかしたら和歌山のラルプデュエズ、千葉山へ向かったのかもしれない。

藤並駅で下車し、早々に輪行状態を解除して出発。

R22を東に進む。待ち合わせのコンビニまでは数キロある。

途中、見たことのないコンビニを発見。

コンビニのすぐ隣で「コンビニより安い!品数豊富!」と書いちゃう豪胆さよ。

メガコンビニとあるくらいだから、規模の大きなコンビニということなのだろう。本当にコンビニより安くて規模が大きいのなら、それなりに需要があるのかもしれない。

ただ、24時間営業でないらしい。それは普通のスーパーとどう違うのだろうか……。

しばらくして、待ち合わせ場所に指定したコンビニに到着。もちろん、こちらはメガコンビニではない。

おもち氏は既に到着していた。補給食を少し追加し、軽く食事を済ませたあと、今日のプランを再度確認する。

おもむろに、おもち氏が口を開く。

「マリーアントワネットは言った、来週パンライドに行けないなら、先にパンライドしちゃえばいいじゃない、と」

二人してニタァと悪い顔をした。いざ、極悪非道の龍神パンライドへ。

ちなみに、マリー某はそんなことは言わない。

ダムは良いぞ、心が洗われる

出発後、すぐにR424を南下する。

曇天の風景に、おもち氏の赤いジャージと愛機が映える。

登り基調ではあるが、斜度はゆったり。気持ちよく走れる。

道の側には有田川が流れており、さらに修理川、さらに日高川のそばを走ることになる。景色も退屈しない。

難点を挙げるなら道中の補給ポイントがほとんどないところだろうか。そんなことを考えていると、修理川のそばにドライブインらしき跡を発見した。

地名の由来は知らないが、まず建物を修理したほうが良いと思う。ちなみに(2019年の時点で)Googleマップを確認したところ、喫茶店は営業しているらしい。

長いトンネルを抜けて、美山郵便局の交差点に到着。

小さく「龍神」の案内が見える。 交差点をそのまままっすぐに進む。

道に青いラインが入っているので、このあたりも一応自転車道でもあるらしい。しかし、こんな場所まで自転車で来て、帰りはどうするのだろう。我々もどうするつもりなのだろうか。

交差点を越えてさらに進むと、高野龍神スカイラインまで51kmの表示と、龍神や新宮の方向を示す青看板が出てきた。

新宮といえば、かつて某鉄道双六ゲームでよく見かけた地名だ。実際には鉄道で行くにも、車で行くにも非常に時間がかかる。まさに陸の孤島とも呼べる都市である。おそらく一生行くこともないだろうと思っていたが、翌週には某ライドの通過地点として訪れることとなる。

そして、高野龍神スカイライン。昨年あの道を一緒に走ったのも、おもち氏であった。

まさか今回は走らないよね? あの道、斜度は大したことないのだけどいろんな意味で辛いんだよ。

おもち氏に聞くと、「まあまあ、とりあえず目的地行ってから考えましょ」などと宣う次第。こいつ。絶対登らせる気だ……。

道中、一瞬霧に見舞われたので、少し注意して進む。前方で「天然のマイナスイオンや」という声が聞こえる。人工的にも作れるが、マイナスイオンそのものは天然やな……。

途中、椿山ダムでひとやすみ。

かなり水が溜まっていたのだろうか、勢いよく放水している様子が見られた。

自転車とダムというのは意外と相性が良い。

ダムはその性質上、市街地から離れた場所にある。その巨大な人工物は往々にして迫力があり、ただ見ているだけで自然の雄大さと人類の英知の両方を感じられる。

かくいう私はメガロフォビア(巨大物恐怖症)の気があるので、どちらかというとダムは苦手である。しかし、怖いもの見たさという度し難い欲求のせいで、見ておかずにはいられない。

椿山ダムもなかなかの規模。ふたりでダム上の通路にて写真撮影を行う。

どうでもいい話だが、こういうダム上の通路で、いのちの電話のビラらしきものが貼ってあるのを見たことがある。もちろん、そういうことなのだろう。

「美山の里」と聞いて思い浮かべる場所

そりゃあ京都だろ。

しかし、和歌山にも美山の里がある。椿山ダムのある一体は美山と呼ばれており、読みもそのまま「みやま」だ。

椿山ダムのすぐそばに、みやまの里と呼ばれるステーションがあった。

道の駅よりも規模は小さいが、お菓子やソフトクリームの販売のほか、自販機やトイレもある。このあたりを走るなら貴重な休憩・補給スポットとなるだろう。

目的地まで、あと約25km。あと1時間程度で着くとは思うが、無理せずここで少し休憩していく。

周りには体育館やグラウンドなどが整備されており、近隣住民にとっても使いやすそうな場所だ。

しばらくして、ふたたび出発。

少し同じような景色が続いてきたので黙々とペダルを回そうとしたところ、ヤッホーポイントという珍妙なスポットが見えた。

ヤッホーポイントとは山彦がきれいに聞こえるポイントのことを指すらしい。なかでも和歌山県日高川町にあるこのヤッホーポイントは、日本で一番きれいに山彦が響くらしい。

どうやらこの橋から渡っていくらしい。「寄りますか?」と聞かれたが、二つ返事で断る。

確かに、純朴そうな少年の声で「ヤッホー」と叫んでいるのが聞こえる。私はもう少年ではないので、おそらく行ってもヤッホーとは叫ばないだろう。「仕事したくない」くらいは叫んでいたかも知れないが。

トンネルを3つほど抜けて、ようやく龍神村に入った。

橋に設置された外灯には、規則正しく鳥がとまっている。

こいつらは龍神村に出入りする人間を監視しているに違いない。

川は泥のせいか少し濁っている。

色鮮やかな景色ではなかったものの、道は走りやすい。登りや下り、少しの荒れ地でも走れるロードバイクだが、やはりオンロードで快走できる時が一番気持ち良いと感じる。

目的地までもうあと少しだが、おもち氏の希望で道の駅龍游に寄っていく。

ここにはWAKAYAMA800のチェックポイントが設置されている。

WAKAYAMA800とは、和歌山県、及び公益社団法人和歌山県観光連盟が主催となって実施しているモバイルスタンプラリーのイベントだ。

イベントでは県内を紀北、紀中、紀南に分けて、合計50のチェックポイント、及び5つの山岳ポイントを設置。推奨しているすべてのルートを通過した場合の走行距離は約800kmになる。

抽選会も実施しており、開催期間中に各チェックポイントのスタンプを集めて応募すると、豪華景品が貰える可能性がある。

ロードバイクやサイクリングジャージ、自転車で気楽に泊まれる宿の宿泊券など、自転車そのものや自転車に紐付けた景品が目白押し。個人的にはサコッシュが少し気になる。

昨年、おもち氏はこのスタンプラリーに参加し、和歌山県内をひたすら走っていた。今年は昨年ほどの熱はないようだが、それでも近くのポイントまで来るとこうしてチェックを入れていく。

それにしても、道の駅「龍游」。道の駅「龍神」ではないのか。名前だけ見るとRPGに出てくる偽の村っぽい感じがする。

もんぺとくわにはAKIRAが住まう

道の駅龍游から、目的地まではもうたいした距離もない。トンネルを3つほど抜けて、一気に駆けていく。

途中、田辺市龍神行政局と呼ばれる建物が見えた。

ここだけえらく場違いな感じがする建物である。

田辺市といえば和歌山県第2の人口を誇る都市だ。面積は近畿圏で第1位であり、唯一1000平方㎞を超える。

それだけに、市役所の他に行政局が4つ存在している。おそらく、この龍神行政局も地域の人たちになくてはならない場所なのだろう。

世界遺産である紀伊山地の霊場と参詣道をはじめ、観光資源にも恵まれている。ちなみに、紀伊半島には火山がないにも関わらず、古くからの温泉がいくつもある。こうした地域はわりと珍しい。

行政局の前を過ぎてすぐ、くだんの目的地が見えてきた。

もんぺとくわ

もんぺとくわ (田辺市その他/カフェ)
★★★☆☆3.07 ■予算(昼):¥1,000~¥1,999

行政局と同じく、こちらも場違いな雰囲気の建物である。どうやら数年前に火事にあったらしく、建て替えたそうだ。面白い形をしており、これはこれで良いと感じる。

急な坂を上り、さてどこへ停めようかと思案していると、お店の中からオーナーらしき女性が出てきて、「大事な自転車でしょう、店の裏に停めて良いよ」とのこと。大変有り難い。ご厚意に甘えて裏手に駐輪させてもらう。

さっそく店内へ。ドアを開けるといくつものパンがお出迎え。

どれも食欲をそそられる。

いわゆる街のベーカリーとは異なり、惣菜パンや菓子パンの類いはないらしい。天然酵母を使った純朴な感じのパンをメインに取り扱っているようだ。

とりあえずランチに来たことを伝えると、そのまま奥のテーブルへ案内される。

このキイロイトリはおもち氏の相棒である。たまにしゃべっている気もするが、そんなときはおそらく疲れているのだろう。

メニューを見ると、和風ランチとピタパンランチの2種類がある。そして、日曜日限定でピザのランチもあったらしい。この日は土曜日だったので、残念ながらピザは頼めない。これが食べられたら翌週土曜日のライドで来る人に強烈な嫉妬心を(ry

和風ランチもそそられたが、せっかくのパン屋なので、ふたりともピタパンランチを注文。

食事が出てくるまで、しばし店のなかをうろうろする。

座席の背後をみると、大きな釜の上に猫が乗っている。

使っている様子がなく、しかも動物が乗っているので、おそらくこの釜でパンを焼いているわけではないだろう。

釜をみると、ひらがなで「あきら」と書いてあるのが見える。

ドームっぽい窯……いやこれはもはやドーム。

これは私の見間違いだろうか。まさか、ここにAKIRAが封印されているとでもいうのか。

これはおもち氏とふたりで、

「金田アアアアアアッ!」

「哲雄オオオオオオッ!」

ってやらなきゃならない流れなのか。ていうかさんを付けろよデコ助野郎。

脳内では既に芸能山城組のBGMが流れている状況だったが、店の迷惑になるのでAKIRAごっこはやめておいた。

ふたたび着席したころ、ピタパンランチが届く。

ピタパンのなかには椎茸のフライが入っているのが見えた。一口かじると、その肉厚さが口に広がる。だが、食べ進めていくと、おからなど別の具材が顔を見せてゆく。良いサプライズだ。

豆と野菜のカレーとの相性も抜群だ。時折パンに付けて食べると、あっさりとした旨味がひろがる。もちろん、スパイスカレーの類ではないのでカレーとしてのパンチはないが、オーガニック的な食事を好む人にとってはうってつけの味だろう。

欲を言えばライド後の身体にはもう少しの量とタンパク質的なものが欲しかったが、それはやむを得まい。自然派の食事が好きなひとには、このメニューはたまらないはずだ。

もんぺとくわ、ご馳走様。

ちなみに、この食事タイムの写真は、龍神パンライドへ来週参加するメンバーへ丁寧に送り届けた。その反応が期待を裏切らないものであったことは言うまでもない。まさに外道。

店を出る頃、オーナーの女性に見送られた。来週にはここに複数のサイクリストが来る予定なので、その時にはよろしくとお伝えして、店を後にする。

さて、ここから帰る方法は3択である。

案1)もと来たR424を戻る。
案2)R424の途中でR425に入り御坊市へ抜ける。
案3)先へ進み高野龍神スカイラインを経て護摩壇山を登る。

案1は同じ道を戻るというのが味気ないので却下。案2は少しそそられたが、特に御坊に目的があるわけでもないうえに、輪行料金もそれなりにかかる。よって却下。

となれば案3しかないわけだ。やったな、おもち氏。あんたの思い通りってわけだ!

マジ勘弁して欲しい。

不毛という表現が相応しい護摩壇山

もんぺとくわを出て、R425及びR371を北に進む。ここまで来たら腹をくくるかと、おもち氏と一緒に護摩壇山へ向かう。

途中、ドライブイン龍の里という建物を発見。

こちらのドライブインはきちんと営業しているようだ。補給は難しいと思っていたが、思いのほかいろんな店が営業しているらしい。

しばらくして、R371とR425の分岐点にたどり着く。このあたりは日本三大美人の湯、龍神温泉のある地域だ。温泉に入りに来たわけではないが、おもち氏と2人で記念撮影しておく。

この分岐からR425を進むと、やがて奈良県の十津川村に行き着く。おそらく、来週にはそこを通ることになるだろう。今日進むべき道は、護摩壇山のあるR371だ。

せめて登る前に補給できればと思っていたところ、こんなところに道の駅があった。

道の駅龍神。そうか、やはり道の駅龍游は偽物。こいつが本物か。

とりあえず登る前にお手洗いと補給を済ませる。おもち氏は隣にあったレストランでカロリー補給という名のスイーツタイムを満喫していた。私は甘い物は特に必要ない。

周りを見ると、バイクに乗ったライダーばかりである。自転車に乗っているのはおもち氏と私だけだ。別に、人力で護摩壇山に登っても良いのだろう? もちろん、行きたくはない。

時刻は14時少し前。護摩壇山の距離と斜度を考えると、頂上までは1時間以上かかると見ておいた方が良いだろう。さらに、そこから北側のルートはアップダウンがあり、簡単には下らせてくれない。

いつまでも休憩していると日が暮れるので、早々に出発する。

さらにR371を北上していくと、R15との分岐に行き着く。

(写真取り損ねたので翌週に行かれた373氏から拝借)

ここが護摩壇山南側のコースの始まりだ。

護摩壇山(南側): 関西ヒルクライムTT 峠資料室
護摩壇山(南側),関西ヒルクライムTTの峠情報・写真など

ヒルクライムコースとしての護摩壇山は2種類あり、北側から登るルートと、南側から登るルートに分けられる。去年登ったのは北側のルートであり、南側から登るのは初めてだ。

なお、関西ヒルクライムTT峠資料室によれば、北側のルートは難易度S、南側のルートは難易度A。この難易度分類も眉唾ものではあるが、単純な距離だけをみれば北側のほうが斜度は緩く、距離が長い。

ただし、北側のルートは一度1000m近くまで登った後に900mまで下るので、帰りも登らなければならないというジレンマがある。斜度はそれほどきつくないとはいえ、頂上まで登った後に気持ちよく下れないのは、わりと嫌なものだ。

しかも、道中に見るべきポイントは特にない。標高が高いにもかかわらず、その景色は不毛という表現がよく似合う。

結局、南側から登ると、北側で不毛な景色を眺めながらのアップダウンを越えなければならない。それがわかっていたので、登りたくなかったのである。

しかし、ここまで来てしまった以上、登らないと帰れない。おもち氏と2人、マイペースで登り始める。

少し進むと、いきなり斜度10%の表示。

南側のルートは最大斜度が10%程度だと聞いているので、このあたりが一番きついのかもしれないと独り言つ。即座におもち氏から「それは高度な情報戦や」と返されて、ぐうの音も出ない。確かに、この先にも同様の斜度がないとは言い切れないのだ。

まあ、実際のところ最大斜度10%くらいなら、多少距離が長くてもどうにでもなる。おもち氏と世間話をしながら、ひたすら登り続ける。

それにしても、北側のルートと同様、本当に何もない。何もなさ過ぎて、こんな小さな滝でもそれなりに景色の変化を感じてしまう。

感覚の慣れは恐ろしい。

登り初めて1時間以上経過したころ、頂上にあるごまさんスカイタワーまで1.7kmの看板が見えた。

確か最後の1kmはほぼ平坦に近いので、登りもあと少しだ。

標高が高いせいか、頂上付近にはうっすらと紅葉が見えた。しかし、見頃にはまだ少し時間がかかりそうである。

最後におもち氏のラストスパートについて行き、ゴール。

まさか2年連続でここへ来ることになるとは、思いもよらなかった。

昨年来たときは12月の上旬、確か冬期封鎖の前週あたりだ。護摩壇山は標高1000m以上あるため、冬期はR371が通行止めになる。もちろん、ごまさんスカイタワーも営業休止だ。

昨年は道は通れたものの、一足先にごまさんスカイタワーは休みに入っていた。そのせいもあって、きちんと営業しているのを見たのはこの日が初めてだ。

(写真:おもち氏)

特に何が欲しいというわけでもなかったが、うまい棒の偽物……ではなく、インスパイアされた商品が並んでいたので、塩分補給と称して2本ほど購入。

頂上からの景色を眺めながら食べる。

いつのまにか、曇天は青空へと姿を変えていた。

意外と景色が良い。紀伊山地の稜線がきれいに見える。

影がおもしろく映るのに気がつき、おもち氏と並んで記念撮影。

なんというリア充感。リア充過ぎてこのまま下界に帰ったら爆発四散するまである。

一応、この場所にもバスは通るようだ。

ただし、本数は1日に2本程度。我々が到着した15時半には、そそくさと出発してしまった。エスケープが困難な場所であるが、到着時間によってはできないこともないらしい。輪行状態の自転車を載せてもらえるかどうかは交渉次第だろうけれども。

時刻は16時。先ほども記したが、護摩壇山の北側はしばらくアップダウンがあり、簡単には下らせてくれない。少なくとも、高野山まで下るには1時間程度かかるだろう。

別段名残惜しい場所でもないので、記念撮影の後、ふたたび出発する。

前でおもち氏が、「来年もKeiOSさんと護摩壇山に登りましょう」などと宣っている。

うれしいこと言ってくれるじゃないの。しばらく護摩壇山は登りたくない。

趣のある夜の高野山

護摩壇山(北側)のデータは次のとおり。

403 Forbidden | シーサー株式会社

全長約28kmのうち、鶴姫公園のあたりからごまさんスカイタワーまでのおよそ17.5kmは、アップダウンを繰り返しながら登っていくことになる。当然、下りも同じアップダウンを味わう羽目になる。

斜度は普通だが、だんだん日が落ちてきたのと、やはり不毛という表現が似合う景色のせいで、とにかくストレスが溜まる。去年も痛い目に遭っていたはずだが、なぜ今年も同じことをしているのだろうか。

ほぼ無心で鶴姫公園までたどり着く。

ここから先の10kmはほぼ下りだ。一気に高野山まで駆け下りる。

高野山の街に着いたのが17時20分頃。既に日は落ちかけている。

笠田まで下る前に一度休憩しようということになり、高野山内のコンビニを目指す。

高野山にはWAKAYAMA800のチェックポイントが2つもあるとのことで、寄っていく。

そのうちの一つは『弱虫ペダル』とのコラボのようだ。

コンビニに到着した瞬間、ものすごく空腹であったことに気がつく。晩飯は家で食べるつもりだったが、そこまで持ちそうもない。たまらずジャンキーなものを注文しまくる。

しっかり補給を済ませて、ふたたび出発。日は完全に落ちた。なお、極楽橋駅から輪行で帰るという方法もあったが、この日はおもち氏に付き合って彼の家の近くから帰ると決めていた。

高野山を下る前に、金剛峯寺大門に立ち寄る。

真っ暗な中にライトアップされて浮かび上がる大門は、何とも言えぬ厳かな雰囲気だ。思えば高野山の町も、夜になると観光客の数が減り、門前町としての静謐な空気が漂い始めていた。

意外と、夜の高野山は良いかもしれない。自転車ではあまり来たくないが。

R480を下り、はなさかドライブイン前の分岐で左折。そのままひたすらR480を下っていく。実は、このあたりは自身とも少し関係のある場所であり、道はよく知っている。

さほど時間もかからずに笠田あたりまで降りたあと、R24をひたすら西進。目指すは岩出市にある雄ノ山峠だ。

しかし、どうにも身体が辛い。どうやら護摩壇山および高野山のダウンヒルが長すぎたせいか、腕が痺れているらしい。もう大した距離もなかったが、コンビニで最後の休憩をとってから雄ノ山峠を越え、おもち氏の誘導で南海電鉄尾崎駅までたどり着く。

(写真:おもち氏)

駅について車体を停め、さっそく輪行状態にしていく。

次の特急までもう時間がない。40秒で支度しようとしたが、その10倍以上も時間がかかり、結局その次の電車で帰ることとなった。

おもち氏、極悪非道の計画に参加させてくれてありがとう。

結びにかえて

人を出し抜くのはいかに罪深いことかをよく理解できたライドだった。もちろん、罪深いことは悪いことであり、同時に気持ちいいことでもある。これが癖にならなければ良いが。

この日の走行距離は184km。150kmを超えたライドは今回の分を含めても、今年で4回目である。しかも、前回からおよそ5か月以上も空いている。それくらい、今年はロングライドらしきことをしていない(ロングライドの距離の定義は知らないが)。

翌週には時間制限付きの強烈なライドが待ち構えていたが、それはまた別の話。

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