「ポツンと天下一品?」を目指して信楽の山中を駆け巡るラーメンライド

自転車

前書き

グループライドは、誰かの声かけで始まる。

たいていは「今週の土曜どこか行きませんか~?」みたいな感じで希望者を募る。参加者が確定したところで行き先、ルートの決定という流れを踏むことが多い。ただし、たまに目的地が先に決まり、そこから参加者を募るということもある。

今回のライドは後者である。目的地の提案者はがむが氏(@AlienA0V0)。彼からの連絡は久しぶりだ。

聞けば、信楽町にある天下一品上朝宮店へ行ってみたいとのこと。

天下一品といえば誰もが知るラーメンチェーン店だ。鶏と野菜をベースとしたこってりスープで多くの客を虜にしている。

発祥は1971年、京都の銀閣寺周辺に開いた屋台からのスタート。1975年に初の店舗を構え、以降は全国にその名を広めることとなる。

どの店も同じ味だろうと思うかもしれないが、個人的には店によってスープの味が異なるように思っている。

箸が立つようなどろっとしたスープが売りの天下一品だが、過去に訪れた一乗寺の本店は明らかにレベルが違う。メインのこってり味は舌触りが妙にさらっとしていながらも、その深い旨味を存分に引き出しており、他店とは一線を画す伝説の強みを感じた。

一方、私の住む街にある天下一品はどことなく本店の劣化コピーといった風情。スープの粘度はやたらと強いが、くどさが表に出すぎており、どうにもイマイチである。それでもたまに食べたくなるあたり、天下一品の中毒性は恐ろしい。

そんな天下一品の店舗は人の行き交う街中に構えられていることが多い。けれども、信楽町のそれは何故こんな所に? と言いたくなるような田舎にある。近くに鉄道の類いはなく、自動車かバイクでしかアクセスできないような場所だ。

そういう場所こそ自転車での目的地に相応しいといえる。信楽町の天下一品は以前に車で行ったことはあるが、自転車でも一度は行ってみたかった場所だ。がむが氏の提案は良いチョイスだと感じた。

今回の参加者はこちら。

がむが(@AlienA0V0
ふぃぼなっち(@nacci_contact
373(@m_alice
KeiOS(@kei_os_

というわけで、信楽にある天下一品を求めてのライドが幕を開けるのであった。

円環の理に踊らされているというのか?

2022年10月8日 土曜日

午前5時半に起床。よく寝られたと感じながら、のろのろと準備を進める。

しかし、のろのろし過ぎたせいか準備に手間取ってしまう。予定よりも10分ほど過ぎて出発。

前週と同じく、集合場所は清滝峠すぐ近くのセブンイレブン四條畷塚脇町店。もう通い慣れたルートなので以下略。

といいながら、写真だけは撮っている。今日は3連休の初日なせいか、交通量が多く感じる。うーむこれは集合時刻に間に合わないか……?

しかし、意外にも信号にひっかかる回数は少なく、すいすい走ることができた。蓋を開ければ集合時刻の5分ほど前に到着。

すでにがむが氏が到着。会うのはおそらく渋峠への遠征以来か?

しばらくまともに走られていないとのこと。信楽方面は登りがそれなりに多いことが予想される。まあのんびり行きましょう。

がむが氏と談笑しつつコンビニで事前の補給をしていると、373氏が到着。氏曰く、最後に走ったのは私と共にかつめしへ行った時とのこと。およそ3週間ぶりか。

最後になっち氏が到着。こちらは1週間ぶりですね。今日もよろしくお願いします。

めいめい事前準備を済ませて、いざ出発。まずは清滝峠スタート地点の中野ランプ北交差点へ。

なっち氏を先頭にスタート。のんびりペースの登りで難なくこなす。なっち氏はもっと速く登れるはずだが、我々のことも考慮して抑え気味にしてくれたようだ。

頂上にて。お地蔵様に本日のライドの無事を祈っておく。

撮影:なっち氏

そこから裏清滝を生駒方面へ下り、R163の北側をかすめるようにして進む。

進行方向は何やら曇天……。本日は雨が降らないと聞いているので大丈夫だと思うのだが。

そうこうしているうちに定番のフォトコントロールスポット、鳥谷池へ。

撮影:373氏

4台並べて撮影。なぜだろう、先週にも同じような写真を撮った気がするが……。

あまり深く考えては円環の理やら何やらから閉め出されそうな気がするので、とりあえず前へ進むことにした。

r65をひたすら北上。路面状態が良く下り基調の道を快適に進んでいると、JR三山木駅までワープした気分になる。

大正池を前に無理をするのはまずかろうということで、ここで短めの休憩を入れる。

見れば、373氏が艦これコラボのお茶を購入していた。艦これ、ちょっと気になってはいるのだけどプレイしたことはない。というかあのけしからん服装した島風くらいしか知らない。

日差しは見えず、曇り空である。まあ、走りやすいので良しとする。そんなことを思いながら再び出発。

木津川に架かる玉水橋を越えて、井手町へ。

JR玉水駅を横目に奈良線と少し並走。バイパスらしき道の手前でぐるっと回り込みr321に入る。

ゆるやかな登りを進んだ先で住宅街を左折。和束井手線と呼ばれる道の先で、一部の人には見慣れた電光掲示板がお出迎え。

撮影:なっち氏

さあ、大正池約8kmの登りが始まる。

和束町のその先に行ったことがない

大正池の情報は次のとおり。

標高差330m
距離7.7km
平均斜度4.3%
最高斜度10%弱
出典:関西ヒルクライムTT峠資料室

スペックだけ見れば大した登りではない。清滝峠を2倍以上に伸ばして斜度をさらに緩くしたような感じである。

ただし最後の1km弱だけは少しだけ斜度が上がるので、同じペースで走っていると虚を衝かれることになる。

ちなみに信号が無い7km越えの登りなので、20分以上ほぼ全力で走る必要があるFTP計測にはもってこいの道らしい。なっち氏は過去に何度かこの道で計測を行っている。

つばめのクランクにパワーメーターを導入しながら、私は一度もFTP計測を行ったことがない。無事戻ってきたら一度くらい測ってみようか……などと考える。

めいめいのペースで登り始める。過去に3回ほど登っている道なので、なんとなくの感じは覚えている。特に急ぐわけでもなく、会話できるペースでまったり登ってゆく。

それなりに道はきれいで、路面を気にせず登ってゆくことが出来る。我々以外のサイクリストも何人か見られた。

大正池グリーンパークのあたりでおよそ4km地点。このあたりに大正池そのものがあるはずなのだが、いかんせん道からは池らしきものは見えない。

さらに2kmほど進むと、いかにもな林道の手前に和束町の標識。ラスト1km程度だがここから本格的な登りがスタートする。

木漏れ日の中、ゆるゆると登る。車通りはほとんどないのがありがたい。

なっち氏曰く、FTP計測をしている時はこの区間が一番辛いのだという。ちょうど20分に差し掛かるか否かの地点らしく、力を抜くことが出来ないそうだ。

少し心拍を上げながらゴール地点に到着。

BOMBTRACKで清滝峠以外の登りをこなしたのは初めてだ。ギア比のレンジが広いので、このくらいの斜度はもとより、登りに対する不安はあまり無い。車体重量に相殺されているのは否めないが。

ゴール地点を少し進んだところで、和束町の景色を一望。

撮影:なっち氏

雄大というわけではないものの、見応えがある景色だ。

一方、和束町側の下りは斜度がきつく、路面状態もあまり良くない。チューブレスだから、ディスクブレーキだからと油断せず慎重に下ってゆく。それでも車体スペックのおかげか、あまり不安は感じなかった。

適度な恐怖心もうまくバランスを効かせてくれるような感じだ。これからも注意しつつリラックスして下れるようにしたい。

下った先にあるローソン和束南店で2回目の休憩を挟む。

ここから目的地までの距離は15km程度。しかし妙にお腹がすいている。

塩分補給、タンパク質補給と称して揚げ物に手を出す。美味い。そんなに疲れている感じはなかったのだが、美味いと感じるのは身体の疲労に自分の感覚が追いついていない証拠だろう。

天下一品上朝宮店は通し営業ではなく、14時で一度閉めるらしい。時刻は12時少し前。適度なペースで十分間に合うところだ。

ただ、物珍しい店でもあるのでそれなりの待ち時間も考慮する必要があるだろう(記名式の順番待ちスタイルなので、14時までに滑り込めば食べられるとは思うが)。

そう思い、休憩もそこそこに出発した。

和束町を走るr5を進む。この辺りは初めて通る道だ。和束町の町並みを横目にペダルを回す。

と思っていたらすぐに山間部へ突入。

川沿いのワインディングロードを進みつつ、この辺りの人たちは一体どこで買い物をしているのだろうと要らぬ不安を覚える。田舎のほうでは移動式のスーパーもやってきたりするそうだが。

意外と木々が日差しを遮ってくれる区間が多く、夏場でも走りやすい道といえるかもしれない。補給ポイントがないので油断は禁物だけれども。

さらに進むと、「京都やましろ茶いくるライン」の標識が左へ行けと指し示す。というか、この道も茶いくるラインだったらしい。

「京都やましろ茶いくるライン」とは、「日本茶800年の歴史散歩」として日本遺産に認定されたお茶のスポットを自転車で回るルートのこと。京都府と各スポットのある市町村が共同で整備している。

先ほど走ってきた鳥谷池の周辺もそのルートの一部だ。さらには日本最大の自転車ロードレース「ツアーオブジャパン」の京都ステージ(京田辺市)も含まれている。

わりと快走路が多い印象の「京都やましろ茶いくるライン」だが、こんなところにまで続いていたとは。

その標識がr5を離れて山間部らしき道へ進めという。実際、その方が目的地には近い。当初のルートとは少し異なるが、ここは標識を信じて進むこととした。

路面状態はそこそこで、ゆったりとした登りが続く。行き交う車は意外と多い。ここが件のルートと知ってか、我々以外のサイクリストもちらほら目にした。

しばらく登ってゆくとR307に合流。広々とした道路を下り、一路目的地へ。

こんなところに天下一品

下った先で脇道に入り、上朝宮の村落を進む。

一見するとラーメン屋が、しかも天下一品がありそうな場所には全く見えない。だが、その先に進むと……。

あった。

天下一品 上朝宮店

天下一品 上朝宮店 (甲賀市その他/ラーメン)
★★★☆☆3.20 ■予算(夜):¥1,000~¥1,999

伝統的な日本家屋の佇まいに、天下一品ののぼりが立っている。なんとも不思議な光景だ。

到着したのは13時少し前。受付の記名を見ると10組以上が待っている

趣のある屋敷でまったりしたくなるとはいえ、ラーメン屋なので席の回転は早かろう。我々も記名をすませ、店の外で待つ。

店からは微かに良い香りが漂ってくる。ただ、あのこってりスープの香りとは少し異なり、ニンニクを効かせた香ばしい匂いだ。ここでしか提供されない限定メニューもあるようなので、おそらくそれだろう。

40分ほど待ったのち、店内へ。

以前に訪問した際には限定メニューを注文した。今回は天下一品のスタンダード、こってりを大で注文。ついでに餃子をチョイスする。他のみんなが注文したのは店舗限定のメニューだ。

店内は広々としたお座敷。インテリアにも拘りがあるようで、ここが天下一品だとは思えない。脳が理解を拒否している。

暫くして、出てきたのがこちら。

うむ、まごう事なき天下一品のこってりである。ビジュアル、香りともに疑いようが無い。

肝心のお味は……早速一口。

美味い。鶏と野菜をドロドロになるまで煮込んだ旨味が口の中に広がる。過去何度も食した、想像通りの味だ。

だが、スープの出来は他の店舗と少し違う。粘性はあるが口当たりはさらっとしており、けれどもこってりの風味を些かも失うことはない。

はじめに少し述べたが、天下一品のスープの出来は店舗ごとに異なると私は思っている。以前に近所の店で食べたときは粘性を主張しすぎたスープでどうにもイマイチだった。

その確認の意味もあって今回は普通のこってりを注文したのだが、私の考えはあながち外れていないようだ。上朝宮店のスープはこってりと飲みやすさのバランスが良い。どことなく、北白川の本店に近い味のような気がする。

ここまで走ってきた体に、炭水化物と塩分の爆弾が染み渡る。気がつけば大を一気に完食していた。

天下一品上朝宮店、想像通りのまんぞくであった。

せめて、人間らしく(往路と復路は同じにしないという意味で)

本日の目標をクリアし、復路につく。

もと来たルートを逆走するという案も出たのだが、結局R307をまっすぐ帰ることにした。なんとなく、往路と復路を同じにしては面白みがないと思ったからだ。

途中、macchi cycleの工房を発見。

macchi_cycles
macchi cycles(マッキサイクルズ)。 滋賀でクロモリフ&...
撮影:なっち氏
撮影:373氏

クロモリのオーダーフレームを手がける工房である。がむが氏、373氏のフレームはこの工房で製作されたものだ。

本来なら里帰り……と行きたいところだが、今回は予定に組み込んでいなかったので外から撮影するに留める。

それにしても、TADAといいmacchi cyclesといい、なぜクロモリフレームの工房は人里離れた場所に居を構えるのだろうか。

いずれまた、伺うとしよう。

R307は西へ向かう分には下り基調なのだが、いかんせん交通量が多く、大型トラックも頻繁に走る。県境までのなだらかな登りをこなしたあと、注意深く下ってゆく。

一瞬で宇治田原市を過ぎて、城陽市まで戻る。ここは先週も通ったルートで、そのときは逆に登ってきた。

さらに下り、木津川も越えて京田辺市へ。ここにきてようやく日差しが出てきた。もう少し早くに出てきていれば往路の雰囲気も変わっていただろうに。

なっち氏の先導でJR京田辺駅に到着。

ここでがむが氏と373氏は輪行で帰ることに。

撮影:なっち氏

がむが氏は3カ月ぶりの本格的な実走である。ゆっくり疲労回復につとめてください。

私も輪行で帰ろうか一瞬迷ったものの、自走で帰ることを選択する。前回のライドで思いがけずDNFしたこともあり、今回は目立ったトラブルなどがなければ自走で帰るつもりでいた。

再びなっち氏を先頭に西へ進み、R307に合流する。

疲れの見えぬなっち氏。その登りについて行くのがやっとだ。久しぶりのロングライドで、かつ慣れない車体のせいか、足に疲労が溜まってきたらしい。

ボトルの水が空になったので、セブン-イレブン枚方田辺西インター店でいったん休憩を入れた。

なっち氏はここからくろんど池方面へ抜けるとのこと。当初、私も彼についていこうと思っていたのだが、このままでは私のペースに合わせてもらうことになりそうだ。無理せずR307から学研都市線に沿って迂回することとした。

そういうわけで、なっち氏とはここでお別れである。本日もおつかれさまでした。

そして犯人は現場に戻る

さて、ここから家までは一人だ。ソロで走るのは久しぶりのような気がする。

枚方市方面へ近づくにつれ、R307の渋滞が酷くなる。

途中、ハンバーガーの自販機を発見。

過去にクロスバイクで一度訪れたことがある。当初の予定では、帰りにこの自販機に立ち寄る予定だった。

せっかくなので次回のお楽しみにとっておこう。

JR藤阪駅の交差点で左折する。この先は特筆すべきこともない、ただひたすら線路に並走して南下するだけだ。

交通量の多さに辟易しながらも、周りに注意してペダルを回し続ける。

そうしてようやく、本日の出発地点まで戻ってきた。

ふと、そのまま帰ることをせず清滝峠のスタート、中野ランプ北へと向かう。

もちろん、誰もいるはずがない。ただなんとなく、もう一度登ってみようと思っただけである。それなりに疲労しているというのに、自分の行動理由がよくわからない。

そういえばなっち氏はもう帰宅した頃だろうか……。

などと思っていると、聞き覚えのあるラチェット音が響く。まさかとは思ったが、音のした方へ向かってみると……。

くろんど池を経由して清滝峠を反対側から登り、ちょうど降りてきたところだったらしい。既に帰っているものだと思っていたが、なんという偶然か。

なっち氏がしたり顔で「登りますよね?」と聞いてくる。私がここにいる時点で全て見透かされているようだ。疲弊した体を押して、本日2本目の清滝峠を登り始めた。

当然ながら足は回らず、体からはいつも以上に汗が噴き出る。それでも登っていると、本日のライドのことも忘れ、日頃のよしなしごとも彼方へ消え去り、ただ己のフィジカルな負荷だけが意識に残る。

余計なことを考えられず、軽いギアで無心にペダルを回す。それが妙に楽しい。

ゆっくりではあったが、気がつけば頂上に着いていた。ライドの終わりをこんな風に締めるなんて誰にも理解されないだろうが、それで良い。

結びに代えて

帰宅してライドのログを見る。走行距離は約140km。そんな距離を走ったのはずいぶん久しぶりだ。

事故から3カ月。少しずつ以前のフィジカルに戻ってきている気がする。

2週続けてのラーメンライドとなった。前週は並サイズを注文したのだが、今週は妙にお腹がすいており大盛りをオーダー。それでも少し足りないくらいだった。走りやすい気候になってきたのか、あるいは身体能力が少しずつ戻ってきたのか。

なお、復路でラーメンの摂取カロリーは消費し尽くしたらしく、帰ってからとてもお腹がすいていた。夕食は近所の回転寿司で16皿ほど平らげたが、それでも腹八分目といったところである。

いずれにしても、良い傾向だと思う。

天下一品上朝宮店のある信楽方面は周りに鉄道がない(一応、信楽駅から輪行で帰ることも可能だが、大津方面をぐるっと迂回するのでたいそう時間がかかる)。それだけに、離脱ポイントには注意が必要だ。

今回はR307経由で帰ってきたが、意外に交通量が多くストレスが溜まる。次回は他の方法で帰るか、信楽を経由地として別の目的地を設定するようにしたい。

さて、次はどこへ行こうか。

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