寒風吹きすさぶ中、富田林の屋台ラーメンを求めてポタリング

自転車

前書き

どの季節が一番好きかと聞かれたら、おそらく冬と答えるだろう。

昔から、冬の冷たい空気がもたらす雰囲気が心地よいと感じる。まあ、単純に暑いのが苦手だというのもあるのだが。

寒さのほうがまだマシというか、それなりに耐性があるほうだと思う。雪国のような冬はたぶん耐えられないが、大阪くらいの寒さであればむしろちょうど良い。

寒い季節になると、何か温かいものが食べたくなる。ライドであってもそれは例外では無い。

そんなことを考えながら次の行き先をぼんやり考えていると、普段よく一緒に走っている坂本氏から提案があった。善哉、雑煮、あるいは屋台ラーメンを食べに行くポタリングを検討しているとのこと。

いくつかの候補地をヒアリングしながら、目当ての店を決定する。それなりに近いのでルートを引く必要もないだろう。

今回の参加者はこちら。

おもちっこ(@noyuyuya
坂本(@skmt_fact
Shin(@shinox_kg
373(@m_alice
KeiOS(@kei_os_

決行日は日曜日となった。サクッとはしってサクッと帰るのが良かろう。

などと思っていると。

……いや本当にこのくらいの寒さなら平気なのだが。なにこれ風つよい。

やはり、サクッと帰ろう。そう思いながらオフトゥンに潜り込んだ。

素手でメガネのレンズを触る奴は○○

2022年12月18日 日曜日

午前6時前に起床。

ここ数日一番の寒さと言うこともあり、起きてすぐに部屋全体が冷たいと感じる。オフトゥン峠の斜度15%といったところだ。

だがしかし。ヒルクライムの斜度15%ならまだしも、オフトゥン峠のそれは私にとって児戯に等しい。

ぬくぬくした布団の誘惑を秒で拒み、準備を済ませて出発する。

本日の集合場所は柏原市だ。単純にルートを選ぶなら大和川までまっすぐ南下し、川沿いに東へ向かうのが良いだろう。右ストレートでまっすぐぶっとばす感じだ。

しかし、それだと時間がかかる。その上、大和川のサイクリングロードでは多くのサイクリストや歩行者が行き交う。自然とスピードも抑え気味になってしまう。

なので、市街地を斜めに進み、柏原市を目指すこととした。

とりあえず市街地を突っ切り、大阪メトロ谷町線が走る谷町界隈を結ぶr30へと出る。

r30を南に進み、四天王寺のあたりでR25に合流した。

このR25は大阪市街地と柏原市を斜めにまっすぐ結ぶ道だ。大阪市内からであれば、おそらく最短で柏原市へとたどり着くルートである。

柏原市へ近づくにつれて車線は減り、道路も狭くなってゆく。

交通ルール厳守で焦らず進み、集合時間ほぼ同時に柏原市のリビエールホールへ到着した。

サイクルラックを見ると、既におもち氏、坂本氏の愛車があった。私も自転車をラックに停車させ、早々に二人のまつホール内へと入る。とにかく風が冷たい。

二人に挨拶して暫くすると、373氏、Shin氏も到着。

あまりに寒く誰もが再スタートに二の足を踏む中、373氏があるものを取り出す。

なんと、自身でデザインされたメガネ拭き、もといマイクロファイバークロスである。

アイウェアのレンズ部分を触ってしまい、いざ走ると曇りや汚れがあってよく見えないというのは、多くのサイクリストが経験することだろう。

そんなとき、このマイクロファイバークロスを携行しておけば、さっと拭けていつでも快適な視界が確保できるというわけだ。さすが373氏、メガネが本体である我々の生態をよく熟知しておられる。

それにしても、ポップなデザインが可愛らしい。今度はうちのつばめもデザインに使ってもらいたい……。

気になった方はぜひこちらで購入されたし。

373 Design lab. - BOOTH
自転車をモチーフにしたイラストの制作、グッズの販売をしています。マイクロファイバークロス(両面プリント)(¥ 750), サコッシュ(自転車)(¥ 2,400), マイクロファイバークロス(アライグマ峠)(¥ 700), マイクロファイバークロス(自転車)(¥ 700)

このマイクロファイバークロス、私を含め今回のライド参加者全員が購入していたらしい。一通り手渡されたあとで、いざ出発……。

と、普段ならささーっと出発するところなのだが、とにかく風が冷たすぎる。なぜ週末にこんな寒波マシマシの気候なのかと恨みながら、出発することとした。

強風で一緒にT.M.Revolutionごっこするかい?

リビエールホールを出て大和川を渡り、南河内サイクリングロードを進む。

柏原市あたり、大和川沿いの道はずいぶん景色が変わっており、視界が開けている。夏の頃は背丈ほどもある草が生い茂り、まるでトトロの道のような雰囲気だったのだが。

大和川を渡り、ファミリーマート柏原円明町店で少し補給を済ませる。ライド中何度も通い慣れたコンビニのひとつだ。

普段あまり購入することのない肉まんをセレクト。こういう時くらいしか食べないので少し高いほうを選んだ。美味い。

再び出発して、r27へ。そこから駒ヶ谷北の交差点で左に曲がり、南河内グリーンロードに入る。

SHIMANOのチームも使用しているという、アップダウンの多い広域農道だ。全長は約28kmもあり、一番南側は南海高野線の千早口駅あたりまで続いている。

流石に登りになるとすぐに暖かく、いや暑くなる。かと思えば下りでの汗冷えがきつい。自ら往復ビンタされにいっている気分だ。

この日の最高気温は5度。風速は5~6メートルである。じっとしているだけで冷たい空気が襲いかかってくる。

走っていても車体を煽られないようにするのが精一杯だ。そのせいか、グリーンロードのアップダウンがいつも以上にきつく感じる。

しばらく上り下りをこなしたあと、展望台に到着。

撮影:おもち氏

ここからはPLの塔が見える。ちなみに正式名称は「超宗派万国戦争犠牲者慰霊大平和祈念塔」という。

PRGのラスボスが潜んでいそうな印象とは裏腹に、あらゆる戦没者を慰霊・鎮魂し、平和を記念するものとして建てられている。

展望台にはベンチにうっすらと雪が積もっていた。おもち氏がせっせと雪を集めて雪だるまを作っている。

あまり揃わないことで有名なぬいトリオが全員集合。雪だるまはゲスト出演らしい。

撮影:おもち氏

……と思ったら坂本氏がおもち氏作成の雪だるまを壊すという暴挙に出た。悲しみにくれるおもち氏と、ガキ大将のポーズで勝ち誇る坂本氏。やれやれ、まるで引率者の気分だ。

さて、ここまで来て先へ進んでしまうと、いずれ河内長野へたどり着く。しかし今回の目的地はその手前、富田林だ。

ぐるっと遠回りして向かっても良いのだが、今回は最短距離で詰めることにした。つまり、元来た道を戻ってゆくわけだ。

ほぼ下り基調の道だが、風のせいもあって少し注意しながら下りてゆく。7月の件以来、どうにも下りは注意に注意を重ねる癖が付いた。

だが、それで良いと思う。怪我しないのが一番である。

道の駅がある太子町まで戻り、そこから一路西へ。r32を道なりに進む。日差しがありがたい。

石川を渡り、R170を通じて富田林の市街地を南下する。

近鉄長野線の線路を越えると、古本市場の店舗が見えた。私はブックオフと古本市場を見かけると無条件で引き寄せられる性質を持っている。

いや今はライド中なのでダメだ……などと思っていると、先導するおもち氏が店舗前の駐車場へ向かってゆく。

こやつめハハハ私と同じであったか。

無論、そうではなく。今回の目的地はその古本市場の駐車場にある。

外で食べるものはたいてい美味いと感じる(新屋台 大我)

新屋台 大我

新屋台 大我 (富田林/ラーメン)
★★★☆☆3.36 ■予算(夜):¥1,000~¥1,999
撮影:おもち氏

大阪でも数少ない屋台ラーメンである。というか、大阪に屋台ラーメンってどのくらい残っているのだろうか。

屋台ラーメンと聞くと、車などによる移動式のものと、開けた場所に厨房やテーブル・椅子を配置したものが思い浮かぶ。

今回の店は後者のようで、古本市場の駐車場の一画を利用して営業している。

駐車場の隅に自転車を停めて、さっそく並ぶ。開店前から既に何人かの客が並んでいた。ちなみに食券制である。

とりあえず一番スタンダードのように見える新屋台のラーメンに赤玉煮卵トッピング、それから黄金炙り鶏丼を注文した。

先に並んでいた客で3つほどあるテーブルが全て埋まる。我々は2週目のようだ。

撮影:おもち氏
撮影:おもち氏

ストーブが設置してあるので多少は暖がとれるものの、吹きすさぶ風がとにかく冷たい。ぐっと我慢しながら順番を待つ。

しばらくして明るく雰囲気の良い2名のスタッフが案内してくれた。座席は簡易コタツ仕様のようで、風も多少防げる作りとなっていた。ありがたい。

スタッフが控えめながらも気さくな雰囲気で食券を確認する。気持ちのいい接客はそれだけで100点だ。

それにしても、なんか動物がいるな……。

撮影:おもち氏

そうして、目当ての品が着丼する。

ビジュアルはいたって普通のラーメンだが……。さて、お味の方は如何に。

さっそく一口。

あっさりとこってりの間をきれいに狙ってきたような感じのスープが麺に絡む。

醤油ベースのテイストは程よいジャンキーさ。やはり屋台ラーメンには良い意味での荒々しさが必要である。

そしてポイントとなるのが、柚子皮の存在だ。爽やかな柚子の香りがスープの荒々しさをうまく包み込み、口をすっと通り抜けてゆく。こってりが苦手な人もこれなら食べられるのではなかろうか。

さて、黄金炙り鶏丼の方は如何に。こちらも一口。

美味い。炙られた鶏の香ばしい香りと食感を、マヨネーズと絡めて白米とともにいただく喜びよ。そんなの美味いに決まっているだろうに。

途中で卵とラーメンのスープを混ぜて食べると、また違った味に変化する。卵のやさしい感じがメインとなり、これはこれで美味しい。ただ、どちらかといえばそのまま食べるほうが好みに合っているようだ。

個人的にはラーメンよりもこの炙り鶏丼のほうに惹きつけられた。機会があればもう一度食してみたいものである。

新屋台大我、寒さを我慢して食べに来たくなるまんぞくであった。

「これはライドですか?」「いいえ、ショッピングです」

ラーメンを食べて心も体も温まる……と言いたいところだが、この日の風は本当に冷たく、体が一気に冷えてしまう。本日の目的も達成してしまい、どうにも再び走る気にならない。

誰かが言い出したわけでもなく、一人、また一人と駐車場の先にある古本市場へ吸い込まれてゆく。

古本市場富田林店|古本市場 ふるいち店舗情報サイト

古本市場といえば全国展開する古本ショップのひとつである。しかし、大型古本ショップというのは基本的に本だけでは無く、CD、ゲーム、さらにはフィギュアなども取り扱っていることが多い。

この店も同様で、本以外の販売スペースが広くとられている。特に、フィギュアのラインナップが圧巻だ。

未開封のフィギュアも多い。フィギュアの開封未開封はあまり気にしないほうだが、未開封のほうが良いのは言うまでもない。

私的にはコレが凄く気になった。

ねんどろいど アーミヤ
ドクター、また会えて……嬉しいです。 大人気スマートフォンゲーム『アークナイツ』から、若きロドス島の指導者「アーミヤ」のねんどろいどが再販決定です。交換用表情パーツは「通常顔」の他に、凛々しい「叫び顔」とかわいい「笑顔」の3種類をご用意しました。オプションパーツとして「エゴ・アブソープション」と「ヴァイオリン」...

ソーシャルゲーム『アークナイツ』のキャラクター、アーミヤである。

『アークナイツ』はユニットの選出と配置が鍵を握るタワーディフェンス系のゲームだ。敵の出方を見極めながら各ユニットの属性をうまく利用する必要があり、単純な力任せでは行き詰まるマップも多い。

うさ耳属性はあまり無いのだけど、アーミヤのデザインはかわいい。真面目で健気な性格の彼女がプレイヤーを「ドクター」と呼んでくれるのはそれだけで響くものがある。

というか、よく考えたら来年はうさぎ年だな。

『アークナイツ』を始めたのも、アーミヤの存在に惹かれたからである。最近はあまり真面目にプレイできていないが……。

未開封品でわりとリーズナブルなお値段……これは購入せよというお告げなのか。

しかし、フィギュアはその箱も含めて繊細な取り扱いを要求されるものである。自走は論外だが、輪行で帰るにしても、丁寧に持って帰れる自信がない。

泣く泣く、購入は諦めることとした。

などと思っていたら、坂本氏とおもち氏はなにやらミッフィーの一番くじに挑戦している。ちなみに、私のなかでミッフィーは「うさこちゃん」と呼ばねばならぬ。

当たったのは坂本氏がまさかのA賞、おもち氏がB賞である。二人とも年の暮れに妙な引きの強さを発揮してどうするんだ……。

結局、1時間近くも滞在して店を後にした。もはやライドではなくショッピングである。

「自走で帰りますか?」と聞かれてNOと言える人間になりたい

相変わらず風が強い。普通に走るのにも少し注意を払わなければならないレベルである。

みな、輪行で帰ろうという雰囲気が強い。目的は達成したし、復路もただ市街地を抜けるだけとなるので、さもありなん。無理をして自走擦る必要もないだろう。

おもち氏は車で近くまで来たとのことなので、その辺りまで一緒に向かうこととした。

来た道を戻り、石川の橋から河川敷に出る。すると、サイクリングロードのような舗装道が続いていた。この先を進めばリビエールホールまで戻ることができる。

風が強いのでのんびりと北上。近鉄喜志駅を少し過ぎたあたりで、おもち氏とは解散することとなった。

我々も喜志駅で輪行しようと思ったのだが……。

風も強いしそろそろ輪行で……

ここからリビエールホールまで10kmもないですよ

自走しましょう

自走ですかね

あっはい

私はNOと言える大人になりたい。

しかし、リビエールホールまでそのくらいの距離なら、自走したほうがむしろ速いし楽だろう。

吹きすさぶ風のなか、373氏を先頭に石川を北上。20分くらいで大和川との合流地点まで戻ってきた。

本来なら大和川に沿ってサイクリングロードを進むところだが、風がますます強くなって行く。市街地ならまだましだろうということで、当初私が使用したR25を逆に戻ることとした。

流石に建物があるおかけで風はいくぶんマシである。それにひきかえ、交通量がやたらと多く、少し気を遣う。

八尾のあたりで車線がひろがり、ようやく落ち着いて走れるようになる。途中、コンビニ休憩を挟みながら、大阪市内まで一気に戻ってきた。

坂本氏とは谷町のあたりでお別れ。Shin氏も373氏もK&MCYCLEに寄りたいという。私はちょうど帰り道の途中なので、そのままついて行くことにした。

Backyard

店で一息つくと、噂のカスタムペイントされたOPNE U.P.が視界に入る。

アトリエキノピオ ×OPEN U.P. 自分たちの好きをカタチにした展示車完成
独創的で高品質なフレームメーカー"OPEN CYCLE"と国内屈指のデザイナー兼ペインター(かつフレーム職人)である"アトリエキノピオ"による自転車が完成しまし

そのカスタムペイントは長野の工房「アトリエキノピオ」が手がけたものである。

カスタマーのオーダーをもとに、けれどもカスタマーの予想を遥かに越えるイメージで表現してくれる。カスタムペイントの手腕で高い評価を得ている工房だ。

しかし、このカラーリングに関しては事前のオーダーは無く、工房による完全おまかせとのこと。

モノトーン調のカラーリングではあるが、どちらかというと水墨画のような淡い墨を幾何学的に広げたかのような雰囲気だ。

それゆえに白地の部分とよく混ざり合い、さらには各パーツの黒とうまく調和しているように感じる。

前衛芸術のような雰囲気をまとった静かなカラーリングとデザインながら、どこにあっても目を惹くような一台だ。

その車体をじっと眺めていると、店長が「乗ってみてください」と声をかけてくれた。

そういえば、この車体のペダルはcrankbrothersである。いま私がこの店からお借りしているBombTrackのペダルも同じだ。ちょうど良い機会だったのかもしれない。

サドル位置を調整してもらい、近くをぐるっと一回りしてくる。

第一印象は「Shimanoの変速方法わすれたナニコレイミワカンナイ(・ω・)」。

違う、そうじゃない。

第一印象は「ロードバイクとグラベルの良いところ取り」である。

乗り心地は間違いなくロードバイクのそれなのだが、妙な安心感というか、落ち着きがある。タイヤの太さのせいもあるだろうけど、それを許容するフレームの作りにも秘密があるのかもしれない。

加速も申し分ないし、最高速度もホビーライダーである私には十分すぎる。それなのに、あたかもグラベルロードに乗っているかのような雰囲気。これなら多少の悪路も問題なく走られるだろう。

面白い一台ができあがったものだと感心する。

しばらく店で談笑したのち、帰路へとついた。ご一緒した皆さん、本日もありがとうございました。

結びに代えて

寒さが厳しいなかでのライドであった。気温が低いことについてはまだ我慢できると思うが、こうも風が冷たくて強いと、ただ走るのも気を遣う。

走行距離は往復で86km。もし輪行していたら、おそらく50kmにも満たなかったはずだ。だが、この気候ではそれでも良かった気がする。

それでも、屋台ラーメンに行くならやはり寒い日だという気がする。無論、夏に行っても構わないのだが……。

今度は春先くらいの時期にでもと思う。

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