前書き
2021年2月7日 日曜日
その日、法事を終えて一息ついていると、なっち氏(@nacci_contact)から連絡があった。今週の木曜日、どこか片道ロングライドへ行きませんか、とのこと。
木曜日――2月11日は建国記念の日である。建国記念日の決め方は世界各国さまざまであるが、日本の場合、何を持って建国記念とするのかという明確なポイントはない。
そこで、初代天皇である神武天皇が即位したとされる紀元前660年1月1日をグレゴリオ歴に換算し、いまの建国記念の日とした、というわけである。
健脚のなっち氏である。片道ロングライドとは果たしてどこ行きを指しているのか、あらかじめ聞いておかねばなるまい。
1.潮岬エクストリームライド(約230km)
2.さわやか(静岡県)のハンバーグを求めて(約250km)
3.伊勢で赤福ぜんざい(約160km)
うん、1とか2とか週の中日でやるライドじゃ無いね!
お誘いを受けた側ではあるが、問答無用で3にして欲しいと伝えた。
本来ならこれでトントン拍子で伊勢へ……となるところだが、それでもひとつ懸念があった。
ここしばらくは終電に近い時刻まで仕事をこなしている。仕事のスケジュール上、月火はおそらく同じような業務量、前日となる10日水曜日もそれなりに忙しいという気がしていた。
寝不足のまま伊勢まで行くのは少し辛いかもしれない。
そんなことを考えていると、なっち氏からスケジュール案が送られてきた。こちらの事情を察してか、ルート上にある駅までの輪行案も出してくれている。これは有り難い。
仕事をなんとか片付けて参加する旨の意を伝えると、久しぶりの伊勢行きに備えて準備を始めたのだった――。
「エンジンを臨界まで上げておけ、ワープする」
2021年2月11日 木曜日
寝不足だったはずだが、ライドの予定が入っていると起きるのも苦にならないらしい。5時半に起床し、のろのろと準備を終えて家を出る。
なっち氏は自走で集合場所へ向かうらしい。コンディションが万全とは言い難い私は、無理せず輪行で近鉄榛原駅から合流することにした。
大阪Metroを乗り継いで、近鉄鶴橋駅へ。
普段は雑多な雰囲気の高架下も、この時間ではひっそりとしている。
「白雲台」、しばらく行っていないな。鶴橋のなかでもクオリティの高い人気店である。
焼肉 白雲台 鶴橋駅前店
電車に揺られて約50分。日差しが温かく、うつらうつらとする。気がつけば榛原に到着していた。
最近は殆ど見ることのないパタパタ式の行き先表示。正式には「反転フラップ式案内表示機」というらしい。
駅を出て速やかに輪行状態を解除。速やかすぎてクイックリリース内のバネが一つどこかへ飛んでいってしまった。
今まで無くしたことないんだがな……。走行には影響しない(はず)と結論付け、集合場所に指定された近くのコンビニへ向かう。
既になっち氏は到着済み。登りを含めたおよそ50kmの距離を自走で約2時間。相変わらず速い。
ふと彼の愛車「MAKINO MK01」を見ると、足回りが変化していた。
これは……
あら珍しい、HUNTのホイールね
知っているのか。
イギリスのホイールメーカーよ。手組で大量生産はしていない上に、海外からの直販でしか手に入らないから、日本国内ではまだ珍しい気がする。
え、なんでそんなに詳しいの。それにしても、このモダンかつ控えめなロゴと、カーボン柄のリムデザインがなんともカッコいい……。正直、Black incとの二択を突きつけられていたら迷うかもしれない
私のBlack incの方が可愛いに決まってるじゃない! ……まあ、HUNTもなかなかカッコいいけど。
Black incのどの辺りが可愛いのか、分かるように説明して欲しい(少なくともハブは爆音で可愛くはない)。
このHUNT、ハブはBalck incと同じくSeramicspeedである。Seramicspeedの回転性能についてはBlack incでよく分かっているつもりだ。こいつもまた、相当に良く回るに違いない。
しかもなっち氏、新兵器としてGarmin1030まで投入してきていた。
以前使用していた1000からの買い換えらしいが、明らかに画面が大きくなっている。方々のインプレでもタッチパネルの反応速度は上々と聞くし、何よりも30番台はバッテリーの持ちが格段に向上している。
新しい装備があると、走るのがより一層楽しくなる。今日はお伊勢参りかつ、なっち氏の新装備お披露目ライドということでひとつ。
わざわざ赤福ぜんざいを食べるために、伊勢へと出発だ。
村って小さいイメージあるよね
近鉄大阪線の線路下をくぐり抜け、R369を進む。
グロス15km程度で十分に目的地へ着く計算だったが、別にわざわざ速度を落とす必要もない。
とはいえ、寝不足でコンディションが万全ではないのも確かだ。無理はしないと決めて、なっち氏の後をついて行く。
道中、謎めいたト○○の看板を発見。
軽く登りをこなしていると、早くも汗が噴き出てくる。寒さにはそれなりに抵抗があるものの、汗冷えだけは如何ともし難い。トンネルへ入る前にウインドブレーカーを装備。
案の定、トンネル内部とその先に続く下りが寒い。あらかじめ装備しておいて良かった。
だんだん人気のない区画へ入ってゆく。程なくして、奈良県御杖村に突入。
御杖村の面積は約79.5平方キロメートル。東京なら町田市よりも、大阪なら茨木市や岸和田市よりも広い。
奈良に限った話ではないかもしれないが、およそ村というのはスケールが大きい。ドラクエでいうところの村を想像していると面食らうことだろう。
そんな御杖村の面積も、奈良県内の市区町村では第14位。村だけに限ってみても第9位である。「ククク……奴は四天王の中でも最弱」とすら言われない。
ちなみに奈良県でもっとも面積が大きい市区町村は十津川村で、その面積はなんと672.38平方キロメートル。琵琶湖や東京23区よりも広いといえば分かりやすかろう。
村強えー超強えー。
それにしても、御杖村はアップダウンの連続である。
登っては、
降り。
登っては、
降り。
だったら登らせるなよと心の中で悪態をついていると、最初の休憩ポイントが見えてきた。
唐突にやってくるもの、それはサプライズ
道の駅、伊勢本街道御杖に到着。榛原駅からここまで約30km。疲れているわけではないが、無理せず休憩に入る。
なんか可愛らしいキャラがいる。名前をつえみちゃんというらしい。勿論、御杖の読みを捩ったのだろう。道中にも標識として時折出てきていたので知っていたが、たいていアップダウンの最中に見えるのでなかなか写真が撮れなかった。
なにか補給食を……と探していたところ、だし巻きサンドなるものを発見。
御杖村のなかで作っているようだ。素朴な味で悪くない。ついでに、集合場所のコンビニで購入しておいた補給食もここで摂取する。
なっち氏によれば予定よりも20分ほど早くに着いたとのこと。なかなか良いペースである。この分なら無理せずとも余裕で伊勢へたどり着けるだろう。
しばし日向で休憩していると、別のサイクリスト達が目の前にやって来た。
見れば、我が愛車と同じくLapierreのXeliusがいるではないか。2016年式のFDJカラー。ちょうどこの年式からシートステー部分がシートチューブではなくトップチューブと直接つながる構造になった。
それにしても、どこかで見たことのある車体である。
続けて到着したのはCORNAGOのMASTER X-LIGHT。クラシカルな雰囲気のクロモリフレームで、カラーリングの美しさが目を惹く。
これも、どこかで見たことのある車体である。
具体的には近畿圏を中心にXeliusを駆るサイクリスト、DARUMA氏(@moonjb1984)のブログ「Groove in life」でよく見るような気がするのだが。
DARUMA氏「あれ、なんでこんなところにいるんですか?」
まさにその人だった。ものすごい偶然である。
聞けば、これから伊勢神宮内のおかげ横丁まで牛丼を食べに行くらしい。ルート的には我々とほぼ同一ということで、途中まで一緒に走ることとなった。
MASTER X-LIGHTの乗り手であるLovelybeer氏(@lovelybeer)とはたぶん酒の席以来で、一緒に走るのは初めて。キャノンボーラーでもある同氏の剛脚は言うに及ばずだが、気さくに誘っていただけて有り難い。
もうひとり、RIDLEYのHeliumに乗っているのは最近DARUMA氏のブログでも登場したY氏。こちらも噂では相当の健脚だと聞く。
パーティが5人に増えたよ、やったね!
などという前向きな気持ち以上に、果たしてこのメンバーについていけるだろうかという不安の方が大きかったのは内緒である。
突然にやってくるもの、それはパンク
道の駅を出て、R422に入る。
ビアさんを先頭にしたグループがびゅんびゅん進んでいく。最初はがんばって着いていこうとしたが、トンネルを抜ける頃には姿が見えなくなった。
ベストコンディションとは言い難いのでマイペース……と思いつつも、あまり遅れてもいけない。無理しない程度にペダルをぶん回す。
しばらくして木々に囲まれた細い下り坂へと入る。
路面コンディションは悪く、うねうねと曲がりくねっているせいで先の様子が確認しづらい。しかも対向車が時折やってくるという三重苦。慎重に車体を動かしながら、いつも以上に注意してダウンヒルをこなす。
すると、前を走っていたなっち氏の後輪から空気の抜ける綺麗な音がした。
なっち氏、パンク。どうやらタイヤのサイドカットが原因らしい。タイヤは先日交換したばかりとのことで、この路面コンディションとはいえ何とも運が悪い。
聞けばロードバイクを購入してから4年、パンクしたのは初めてだという。その割にはパンク修理の作業に無駄が無い。私が初めてパンクしたときはそれなりにあたふたしたものだが。
修理が終わり、いざ再出発と思いきや。
ビア氏「あ、私のもスローパンクしている」
パンク修理第二部の開始である。このとき、第三部を阻止すべくみな一様にしてタイヤをを確認したのは言うまでも無い。
気を取り直し、あらためて出発。先に飛び出したY氏とDARUMA氏の後を追って、ビア氏を先頭に走る。
ふええ、めちゃくちゃスピード出てる……。多少下り基調とはいえ、普段そんなスピードで走れない私は必死である。
交差点で追いついたあとはY氏が先導。ここで早くも脚がついていかず、ひとり遅れをとることになった。無理はしないと決めているので、マイペースでひた走る。
とはいえ、もう少し走れるようになりたいところである。
入国拒否だ……と……?
しばらくぼっちで走っていたら、先になっち氏の赤いジャージが見えた。ようやく次の休憩地点のようだ。
コケコッコー共和国。そんな恥ずかしい名前の国は知らない。伊勢行きのライドへ行ったことのあるサイクリストにとっては、それなりに知られた焼き鳥屋である。
先で待っていたDARUMA氏、ビア氏、Y氏とはここでお別れ。パンクで数十分のロスがあったにもかかわらず、予定より早くに着いたのはこの3人のおかげだろう。またぜひご一緒に。
なっち氏とふたり、そのふざけた国へと続く坂を登る。あ、脚が辛い……これは早くたんぱく質補給をば。
車体をサイクルラックに停めて店に入る。すると、まさかの5組待ち。店内はコロナ対策の一環だろう、半分ほど座席を間引いての営業である。
しばらくして、店員から呼ばれた1組が店内に入ってゆく。その様子を眺めながら、タイムスケジュールを計算し直す。
現在の時刻は14時過ぎ。コケコッコー共和国から赤福までの距離は約30km。そして赤福の閉店時間は17時。
できれば遅くとも15時には出発したい。しかし、このペースではいつ入れるのかも分からない。時間に追われて食事を急ぐのも嫌である。
なっち氏と相談し、今回は先を急ぐことにした。無念……。
結果的に入国拒否となった次第である。このリベンジはいずれ必ず。
共和国に背を向けて、最寄りのコンビニへ。別に、ここで焼き鳥を買ったのは未練があったからではない。
……未練があったからではない。
なおコンビニの焼き鳥はおいしかったですまる。
赤福ぜんざい美味しいですね(本音:甘い)
コンビニを出て、R42へ。
ここから伊勢への最短ルートはおよそ22km。ただ、何とも代わり映えのしない景色と信号地獄が待っているので、それは避けたい。少し遠回りになることを理解したうえで、近くを流れる宮川沿いのルートを進むことにした。
宮川をまたぐ橋の上から。水が澄んでおり、川縁が綺麗だ。あまり人の手が入っていないようにみえる。
宮川を超えて、県道R38――伊勢大宮線に入った。
アップダウンの少ない快走路で走りやすい。しかも自転車専用道の青い印がある。
遠くには風力発電の群れ。
よく考えれば伊勢湾はもう目と鼻の先だ。風力発電の設置条件としては申し分のない立地なのだろう。
このルートは正解だ、非常に走りやすい。何でも最短で走ることが正しいとは限らないことをあらためて理解する。
再び宮川に合流し、川に沿って走る。ふと川の向こう側にある公園を眺めていると、場違いな「ヘリコプター」が見えた。
あとで確認したところ、「宮リバー度パーク」というこの公園に鎮座するヘリコプターは、自衛隊で使用されていた富士重工製のUH-1Hと呼ばれる機種らしい。どういう経緯でここにヘリコプターが置かれることになったのかは知らないが。
そんな珍妙な景色を背にして、伊勢市へ突入。
あとはもうパレードランである……と言いたいところだが、ここにきて強烈な向かい風が吹く。しかも私の脚はすでに売り切れており、25km/h巡航もできない状態だ。最後の最後で、これはきつい。
とりあえずペダルを黙々と回す作業に入る。向かいは基本的に登っている状態と変わらないので、ゆっくりでもペダルを回すしかないのである。とにかく回していれば、前には進む。
開けた様子の風景が徐々に変わり、伊勢の古い街並みが見えてきた。たかだか100km弱の行程であるのに、ずいぶん長かった気がする。
ふと、正月に飾られるようなしめ縄の飾りが目に入る。
最初はしまい忘れているのかと思っていたが、見るとどの家も同じような飾りをしていた。
伊勢市では1年を通してしめ縄を飾るという風習があるようだ。しめ縄には札がかけられている。写っている札に書かれた内容は、「蘇民将来」と呼ばれる伝説上の人物が疫病から免れたという物語にあやかったものであるらしい。
他に商売繁盛や笑門を書いた札も多く見られた。要は縁起物ということらしい。
そんな風習を守る街並みの中心に、本日の目的地があった。
赤福 外宮前特設店
自転車で来たのは4回目である。過去3回はいずれも赤福氷の時期。今回、赤福ぜんざいを食べるのは初めてだ。
それにしても、明らかに人の入りが少ない。
以前は店の中は赤福を食べに訪れる客でいっぱいだったが……。コロナによる影響は伊勢でも同じようだ。
さっそく赤福ぜんざいを注文。なっち氏はそこに赤福も2個注文していた。ああ、しっかり食え。おかわりもあるぞ!
客が少ないせいか、出てくるのも早い。
これが赤福ぜんざいか。見たところ、普通のぜんざいと変わらんようだが……。
いざ実食。
うん、甘い。甘いでこれ……。
私は甘いのはさほど好きでは無い。和菓子はまだマシなほうだが、それでも自ら好んで食べることはあまりしない。
まあ、たまに食べる分には悪くあるまい。何よりも自転車に乗っていなければ、こうして久しぶりにぜんざいを食べることもなかっただろう。
赤福ぜんざいという名前ではあるが、私の平凡な舌では普通のぜんざいとどう違うのかがわからない。とはいえ、別にどこが悪いというわけでは無く、ぜんざいとしては及第点なのだろう。
しかし、甘いでこれ……(しつこい)。
味の好みはさておき、疲れた体に糖分を補給して少し元気になった気がする。
次回はやはり赤福氷の季節か。それまでにもう少し客足が戻っていることを願いつつ、店を後にした。
満腹食堂でB級グルメの真骨頂を食す
時刻は17時少し前。予定していたライドの行程はすべて終了した。
本来なら目の前にあるJR伊勢市駅から帰るところだ。しかし、コケコッコー共和国で昼飯を食べられなかったこともあり、非常にお腹が空いていた。帰る前にどこかで夕食といきたいところである。
となれば、行くところはひとつしかなかった。すぐ近くにある近鉄宇治山田駅へと車体を走らせる。
着いたのはこちら。
まんぷく食堂
ここでは伊勢市のソウルフードと呼ばれる「からあげ丼」、そして「伊勢うどん」を堪能できる。
しかもこのまんぷく食堂、作家・橋本紡による小説「半分の月がのぼる空」(電撃文庫)の聖地でもあるらしい。40代のオタクは大抵履修済みと聞くが……悲しいかな私は30台後半なので未履修である。
まんぷく食堂に来たのは今回が2回目、なっち氏は初めてである。店に入ると、さっそく離れにある座敷へと通される。
駅は目と鼻の先なので、もう自転車に乗ることもない。ということで、まずはビールを注文。
無事にライドが終了したことを祝って、乾杯!
水分補給にならないもので喉を潤していると、プチからあげ丼と伊勢うどんがセットになった新福定食が運ばれてきた。
「プチ」とついているが、その量は普通の丼ものよりも少し多い。
ビールに炭水化物という悪魔の組み合わせも、ライド後であれば許されるだろう。躊躇すること無く、まずはからあげ丼から実食。
上手い。ビジュアルを裏切らない安定の味。丼全体に染みたタレがまさに「こういうのでいいんだよ」という甘みと旨味を与えてくれる。
からあげに塗されたスパイスが良いアクセントになっており、ビールとの相性も悪くない。B級の名に恥じない味である。
続けて伊勢うどんを実食。
あらかじめ知ってはいたが、伊勢うどんにはまったくコシがない。伊勢市民には怒られるかもしれないが、普通のうどんに慣れ親しんだ者からすれば、練った小麦粉をうどん状にしたものと言ったほうが正しいかもしれない。
うどんを濃いめの出汁につけながら食べる。甘辛い味がうどんに馴染む。独特の食感もまあ、うどんだと思わなければアリだろう。
一気に完食。赤福ぜんざいが無ければ、からあげ丼は普通サイズでもいけたかもしれない。
しかしこのお店、「半分の月がのぼる空」ではどのような描かれ方をしているのだろうか――次に来るまでには読んでおきたいと思いながら、店を出た。
自転車を押し、徒歩30秒くらいで宇治山田駅へ。さっそく輪行状態にする。
ここから大阪までは電車でもそれなりに時間がかかる(急行で2時間以上)。加えて、急行のフラットシートでビールを飲むという選択肢は避けたい(大事なことだ)。
持つべき者は酒飲みのサイクリスト仲間である。なっち氏と認識を共有し、迷わず特急券を購入した。
しかも宇治山田駅にはコンビニが併設されているのである。何せこの駅使うの4回目だからね! 俺は詳しいんだ。
特急に乗り込み、本日2度目の乾杯。
こうしてなっち氏と飲むのも何回目だろう。このショットも少し見慣れてきた気がする。
とりとめのない話を交わしながら、無事に大阪へと戻ってきた。
余談だが――近鉄特急の車両はもっとボロいイメージがあったのだが、最近のそれはもうピカピカである。
なにこの車両、私の知っている近鉄特急ではない。
結びに代えて
久しぶりの伊勢であった。なんとなくそろそろ行きたいと思っていたところだが、まさか早々に、しかも週の中日に行けるとは思ってもみなかった。
正直に言うと、ここ数日は非常に忙しくしていたせいもあり、祝日はただ休みたいと思っていたのも確かだ。
しかし、脚がやられるほどのライドだったにもかかわらず、翌日は心身ともにスッキリした状態であった。
世俗を離れ、己を非日常の世界へと没入させる手段のひとつ。それがロングライドであり、これを可能にするのがロードバイクの魅力なのだろうと思う。それは、ハレとケの概念に近いのかもしれない。
迷っているのなら、行くべきである。そのことを再認識したライドだった。
結局、行ってみないとその楽しさはわからないのだから。