前書き
2019年12月19日 木曜日
1年の終わりが近づいてきたある日のこと。
SNSのTL上では忘年会に関するつぶやきであふれていた。忘年会なんてなくなれば良い、との意見が大半を占めている。
まあ、忘年会にさしたる思い入れもないというか、いまは弱小フリーランスなので忘年会とか関係ないけどな…….
そんなことを思っていたら、いつもよく一緒に走らせてもらっている方々から週末のライドについての相談があった。
今回のメンツは次の通りである。
373氏(@m_alice)
おもち氏(@noyuyuya)
Shin氏(@shinox_kg)
kabo氏(@kabotyo3)
Gatearu氏(@Ga_EXRnm7)
彼らとは長らくサドルの上で仲良くさせてもらっている。1年の終わりの時期にみんなで走ることができるというのは、まさにライドの総決算。まるで忘年会のようではないか。
そう、忘年会が嫌なら好きなものに組み込めば良いのである。というか、忘年会が嫌じゃないケースって、参加者といずれも気兼ねなく接することができる場合に限られるのではないか。
ともかく、1年の終わりに全員で集まって軽く走ろうということになった。
楽しく締めたいということもあり、過酷なロングライドにするつもりはまったくない。100km程度でグルメをメインに楽しめるライドが良いだろう。過去に行ったことのあるお店もいくつか取り入れてコースを作成し、全員から了解を得る。
世間のごく一部では忘年会ライドなるものが流行っていたらしい。流行には疎いが、今回ばかりはこのビッグウェーブに乗っかっても良いだろうと思い、当日を待つこととした。
オフトゥン峠を越えられない奴は○○(自主規制)
2019年12月21日 土曜日
この日は午前8時半にローソン池田新町店に集合。いつもより少しだけ遅い時間だ。
当然ながら、既に日も出ている。福島区にある将棋会館を右手に眺めながら北上。

いつものように十三大橋を渡ってR176を進む。

新三国橋の北詰で神崎川沿いのルートに切り替える。

この日はのんびりしたコースを設定した。そのせいか、気持ちも幾分穏やかだ。
いや、いつもライドは楽しいものだが、きついコースとなると多少は身構えてしまうものである。その点、グルメが中心のライドはどう転んでもそれなりに楽しい。
柄にもなく昂揚した気分でのんびりと川沿いを走っていると、20台以上のロードバイクの集団に出くわす。

これは併走するのが大変だと思い、先に行ってもらう。
と思ったら、思っていた以上に集団のペースが遅い。のんびりペースがさらにのんびりとなってしまう。集合時間に間に合うだろうかと少し心配になりながら、集団の少し後ろについて走る。
この時点で、少し嫌な予感がした。神崎川のサイクリングロード、あるいはR163を北上するサイクリストは、今回の集合場所であるローソン池田新町店へ寄ることが多い。
丹波篠山方面や三田方面、あるいは北摂方面へ向かうにあたり、このローソンはちょうど良い場所に位置している。
集合時間少し前に到着すると、やはり予感は的中。あまりに人の数が多く、補給食を買うのも時間がかかりそうだ。
私が着いた直後にやってきた373氏と相談し、ルート上の先にある別のコンビニへ行こうという話になる。
少し遅れてShin氏、kabo氏、おもち氏も到着。状況を説明し、別のコンビニへと向かう。
あれ、Gateau氏は……?
Gatearu氏はShin氏、kabo氏、おもち氏と別の場所で待ち合わせてから来るはずだった。尋ねてみてもみな苦笑いである。どうやらオフトゥン峠を越えられなかったらしい。
オフトゥン峠を越えられぬ者に人権無し!(ただしサイクリングに限る)

愛車が泣いてますぜ……。
休み中の宿題は大事にしておくタイプだったが、登りは先に片付けたい
ローソン池田新町店を出発し、R12沿いにある別のコンビニへ。

無事に補給を完了させる。一時はどうなることかと思ったが……場合によっては、次回以降はR12沿いのコンビニに集合という形でも良いのかもしれない。
気を取り直して、本日のライドに出発。

R12を進み、多田大橋西詰のあたりで左折する。ここでR325という小さな道へ行こうと思っていたのだが、そのままけやき坂と呼ばれる住宅街に入ってしまう。
途中でルートを修正し、無事にR325へ。木々に囲まれた道が飛び込んできた。


こんな道なら1車線でものんびり走れるだろうと思いきや、意外と車通りが多い。おそらく川西方面へのアクセスに利用する人がいるのだろう。
狭き道を進み、宝塚市へ突入。

宝塚といえば歌劇団などのイメージが強いと思うが、住宅地や商業地はごく一部である。その大半は六甲山系や長尾山系に覆われている。
とはいえ、こんなところに宝塚市の標識があるのは近畿地方に住む我々にとってもシュールな光景だ。
この日の大きな登りはこれでおしまい。あとは小さなアップダウンがあるものの、皆にとっては大したこともあるまい。
ここから楽しいグルメライドの始まりだ。
十万道路との交差点を過ぎてR33に入り、R324との交差点を左折する。

新名神高速道路と併走するこの道はとても綺麗で、ロードバイクで走ると楽しい。


高速道路との交差を写真に収めながら、スピードを上げる。

このままどこまで下るのだろうと思った参加者には申し訳ないが、そのままR33を進むと登り返すことになる。

なぜ下った……という苦情は一切受け付けず、みんなでつかの間のヒルクライムを楽しむ。
登った先で宝塚市の里山を眺める。この日の気温は最高11度。


やはり暖冬なのか、標高200mあたりの場所でもあまり寒くない。
このままR33沿いにぶらりと進みたい衝動に駆られるが、それでは目的地から大きく離れて行ってしまう。ごく小さな分かれ道に入り、川下川沿いに南下していく。
またもや木々に囲まれた道だ。

国道や県道ではない道を気持ちよく走れると、それだけで勝ったような気分になる。
少し進むと大きなダム湖が現れる。ここは川下川ダムだ。


ロードバイク乗りにとってはある程度見慣れた場所かもしれない。しかし、細い道を通ってしか辿り着くことができず、アクセスは意外と不便である。
しかも、上水道水源であるためか堤上及び周辺への立入は厳しく制限されている。いわゆる観光スポットやダム特有の景色を求めて川下川ダムへ来る人はほとんどいないであろう。
強いて言えば、ここから見上げる新名神高速道路は圧巻だ。

自然に囲まれた地にダムと高速道路が交差する雰囲気はなんとも表現しがたい。
ベンチの綴りに含まれるiにはきっと意味があるのだろう
ダムから細い下り坂を進むと、R327に合流。


後ろでkabo氏と少し自転車談義。彼の技術屋としての蘊蓄は毎回面白い。 技術的な話には疎い私だが、 どの辺が面白いのかはなんとなく分かる。
メカニック的な部分を深く知るためにも、一度自分で自転車をバラしてみるのも良いかもしれない――そんなことを考えながら武庫川沿いを走り、JR道場駅のそばを過ぎる。

R176からR15に入り、神戸電鉄三田線とゆるく併走。やがて見えてきた住宅地に、本日最初の目的地がひっそりと佇んでいた。
ベーカリーBENCHi




今やサイクリスト御用達のパン屋といった感じだが……なぜサイクリストに愛されるのか、その理由は定かではない。六甲からも少し離れているというのに。
しかし、店先に並ぶパンを眺めていると、その理由はすぐにわかる。




そこに美味そうなパンがあるから、食に対して貪欲なサイクリストが集う。ただそれだけのことなのだろう。
私は具材たっぷりのパンに、いちごあんのフロマージュをいただく。


パンに乗ったポテトとミートソースが、ハード系のパンに良く合う。もう一方のフロマージュは、いちごあんとクリームチーズの相性が抜群だ。甘いものはさほど好まないが、これは美味しい。
ちなみに、BENCHiで有名なメニューのひとつは、やはりこちらの厚切りベーコンパンだろう。

もはや主役はパンではなく肉。しかしその味はカロリーを消費したサイクリストにとって強烈な一撃となる。もちろん、一口食べるのにも苦労する一品だが。
この時点で既に10時半頃。予定ではBENCHiに11時着のつもりだったので、だいぶ余裕がある。
予定では約1時間後に昼食なのだが……普段なら「だれだこんな予定組んだのは」とツッコまれるところだ。しかし、今日はただ食欲のみに突き動かされて走るライドなので、これで良いのである。
美味しいラーメンというのはかくも難しい
BENCHiをあとにした我々は、JR田尾寺駅からR82を西に進む。ほどなくしてR73に入り、三田市のウッディタウン方面を目指す。

住宅地に囲まれた街並みから、すぐに田畑や低い山々の広がる地域に出てくる。神戸市の北側はこのような雰囲気の一帯が多い。
かと思えばNTNの配送センターがあったり。

NTNといえば、大阪が誇る世界的に有名なベアリングメーカーである。ほかにも、各企業の物流センターや工場が見える。
ちなみに、BENCHiのすぐそばにも阪神流通センターと呼ばれる一帯があり、同様の建物が整然と並んでいる。きちんと調べたわけではないが、おそらくこの辺りが新名神、山陽自動車道、中国自動車道の結節点だからだろう。
有馬高原病院の手前でごく短く伸びる激坂を皆ハイテンションで駆け抜け、ウッディタウンに入る。


ウッディタウンとは三田市に位置するニュータウンのことである。名前は聞いたことがあるが、自転車でしか来たことがない。
そもそも、外部の人間がわざわざニュータウンを目指してやってくることケースなどごくわずかだろう。初めて来た手段が自転車だったというのは、わりとありがちなことなのかもしれない。

広大なイオンモールには生活に必要なあらゆるショップが入っているほか、映画館も併設されている。神戸や大阪に出て行かなくても、ここで生活が完結してしまいそうだ。住みたいかどうかは別にして、こういう計画的な街並みは嫌いではない。
近くには関西学院大学の三田キャンパスがある。関西学院大学といえば、近畿圏の難関私立大学、いわゆる「関関同立」の一角を成している。関西のほとんどの受験生はその名前を知っているはずだ。
しかし、関西学院大学の三田キャンパスといえばそれはもうネタに近いものがある。「兵庫でアーバンなキャンパスライフを送ると思っていたら超がつくほどのカントリーサイドで草も生えないでござる、いや緑だけは豊富で候」といわんばかりの場所だ。いや本当に。
全国的な様子はよく知らないが、少なくとも近畿圏の総合大学に限って言えば、1980~90年代は都心から離れた場所に新キャンパスを設置する動きが盛んであった。関西大学、同志社大学、立命館大学も同様だ。
それがここ最近では原点回帰のつもりなのか、少しずつ都心のキャンパスに戻ってくるような動きも出てきている。
人によるだろうが、キャンパスの立地は学生生活を左右する重要なファクターだと思っている。これから大学受験に望む未来ある若者は、ぜひ受験前にキャンパスの場所と雰囲気を確認して欲しい。
「同志社大学で京都の学生生活を満喫できると思い受験会場の京田辺キャンパスについたらその時点で既に都落ちだった、何が起こっているのかわからなかった」と言っていた奴もいるので、十分に気を付けよう(高校の同級生で実際にそんな奴がいたが、そいつは都落ちどころか同志社にも落ちた)。
話が逸れた。閑話休題。
ウッディタウンに特に用事はない。なんとなく、コース上に組み込んで街の様子を眺めたかっただけである。早々に通り抜けてR308へ。

再びのどかな風景が広がる。サイロもあるぞ。

青野ダムを横目に通り過ぎて少し進むと、目的のラーメン屋があった。
中華そば わらべ



こんな場所にラーメン屋……最初に看板を見たときには、何かの冗談だろうと思ったものだ。以来、すぐそばを走る度に赤いのぼりが出ているのがずっと気になっていた。
サイクルラックも整備されているということは、それなりにサイクリストがやってくる場所なのかもしれない。期待が高まる。

店内に入り、食券を購入。4人掛けのテーブルに対して、有り難いことに座席をひとつ追加させてもらい、5人で一息つく。

私とkabo氏は特製濃厚そば、Shin氏とおもち氏は中華そば、373氏は冷やし担々麺を注文。
しばらくして、注文した品が運ばれてきた。



濃厚そうなスープの香りが鼻をくすぐる。1時間ほどまえにパンを食べたばかりだというのに、早くも食欲が湧いてきた。早速いただく。
スープを一口。香りから抱いたイメージそのままの、いわゆるこってり系のスープだ。こちらはまずまずといったところか。
一方、麺は……うーん……。
この細麺は濃厚なスープとの相性が悪い気がする。決して不味くはないのだが……。個人的に細麺が好みではないというのもあるので、他の人が食べるとまた違う感想を抱くことだろう。
あと、たまごの味が薄いのが残念。普通のゆで卵と変わらない感じがする。
サイドメニューにおでんがあるのでたまごには期待していたのだが。できればきちんと味のついた煮卵か、燻製卵が食べたかった。
リピートしたくなる美味しいラーメンとはかくも難しいものである。
宗教施設はグロテスクか否か
ラーメン屋を後にして、青野ダムへと戻る。
午前中に通った川下川ダムとは異なり、こちらは堤上を通行できる。細い道だが車も普通に通っている。



堤上にはなにやらダム湖から流れる水を撮影している人がいた。


もしかすると放水のタイミングを待っていたのかもしれない。
ダム湖には3~4畳くらいの浮島? らしき場所に人が集まっている。

釣りをしているのだろうか。近くに管理員らしき姿もあるので、何かのイベントか、あるいは許可を取った行動なのだろう。
それにしても、あんな場所でトイレに行きたくなったらどうするのだろうか……などと要らぬことを考えてしまう。
ちなみに青野ダムの堤上の手すりには、いのちの電話のダイヤルが記された張り紙がある。つまりはそういうことなのだろう。
不謹慎ではあるが、そうした点も含めてダムという場所はある種の妙な興味を引きつけられるのである。当の本人は軽く巨大恐怖症(メガロフォビア)なので、怖いもの見たさではあるのだが。
ダム湖――千丈寺湖の周囲は走っていて気持ちの良い道が続く。


特に南側はそれなりに道が整備されており、湖やキャンパーの様子を眺めながら走ることができる。
さっと通り抜けた向こうに、弥勒寺のなんともカラフルな建造物が目に入った。

かなり大きな寺で、笑顔を浮かべる金色の弥勒大佛も複数確認できる。
良い意味で妙な奇怪さがある。日本の宗教もまた、或る意味で宗教的グロテスクの宝庫といえるだろうか。
R49、R37を経由し、R68――北摂里山街道をひた走る。


ここでなぜか373氏が先頭でめいっぱいスピードを上げていく。特に急いでいるわけではないが、早くに帰れるならそれに越したことはない。
干刈水源池のそばを過ぎてしばらくすると長い下り区間。その先は道の駅いながわとつながっている。
普段ならここでもうエンドロールが流れるところだ。しかし、本日はグルメライドである。最後の締めに、もう1軒回っておこうではないか。
ホットチョコレートとココアはそもそも違う飲み物
道の駅いながわに着くと、『鬼滅の刃』のOPが流れていた。気がついたのはShin氏だったか、おもち氏だったか。
ちなみに、私は見ていない。少し気になってはいるのだが……・。
軽く休憩を済ませて、一気に川西池田の方へ戻っていく。R12の道もずいぶん慣れたものだ。

集合場所だったローソン池田新町店を過ごして、もと来た道である猪名川沿いに入る。


伊丹空港を過ぎて、園田配水場のあたりで一般道に合流。R176の方へ東に進む。
やがて、本日最後の目的地が見えてきた。
CHOCOLATE BLANCH




甘いものは苦手だが、「メシ食べたあとはデザートだろう、」いう一部の期待に応えることは吝かではない。参加者全員が満足してこそグループライドである。

この季節にはホットチョコレートがあるということで、そちらをいただく。
出てきたのがこちら。

熱いので注意しながらちびちびといただく。
当たり前だが、溶けたチョコレートをそのまま飲んでいるような感覚である。それでいて、飲み物としてギリギリのラインを攻めている。このあたり、最初から飲み物であるココアとの違いが感じられる。

この寒空の下、ソフトクリームを食べている剛の者もいたのが……。
ちなみに甘いものは苦手だといったが、チョコレートは嫌いではない。むしろ、家に置いてあると無意識に手が出てしまいそうになるくらいだ。なので、普段は買わないようにしている。
しかし一方で、ホワイトチョコレートはダメ、高級なチョコレートは苦手など、妙な制限を持っている。大して困らないので別に構わないのだが……・。
……それにしても、お店のすぐそばにあるこの統一感のないオブジェは一体なんだろうか。

いつからチョコレートショップが締めだと錯覚していた?
締めのデザートも堪能し、大満足のライドだった。あとは気を付けて帰るだけである。
上空を掠める飛行機をパシャリ。


猪名川沿いの道をのんびりを帰っていく。終始くもり空ではあったが、冬はこのくらいでちょうど良い気がする。

この時点で16時過ぎ。帰ったら17時過ぎくらいだろうか。おおむね計画通りだ。
神崎川沿いからR176に合流し、やや五月蠅い交通量に注意しながら十三大橋を渡る。

何かトラブルがあったのか、JR福島駅では踏切が開かないという事態に遭遇した。

裏道を使って抜けようと思っていたところ、すぐに開いてくれたので一安心。
ライトアップされた御堂筋が冬の賑やかな面を感じさせる。


このまま帰って祝杯を……というわけではなく、5人揃っていつもの自転車屋へ向かう。
そう、グルメライドはこれで終わりではなかったのである(ライドは終わりだが)。
自転車をショップに置き、5人で近くのお店を探す。
そう、この日は1年のライドの決算として、忘年会を実施するつもりだった。冒頭に記した「忘年会が嫌なら好きなものに組み込めばいい」というのは、言葉通りの意味である。
本当は農人橋にあるcurry bar nidomiのカレー鍋を食べたかったのだが……直前まで都合がつかず、予約が取れなかった。
このメンバーで飲むのは私とShin氏くらいである。しかし、Shin氏は近くまで車で来ていたので今日は飲めない。ならば、居酒屋というわけにもいくまい。
ライド後は腹が減っているのが常。皆、何でも良いとのことだったので食べ放題の焼肉にしようということになった。
まるで運動部に所属する中高生のようである。
牛庵 船場中央店

忘年会シーズンであるにもかかわらず、幸いにもこちらが開いていた。当日に電話して突撃。
焼肉の食べ放題を食べた記憶がないので、システムがあまりよくわかってない。注文を他の人にお願いして、トリアエズナマを注文する。目の前のShin氏には申し訳ないが……やはり、ライド後の一杯は止められない。
今年1年、大きなケガもなくライドを楽しむことができた。そのことを祝して、乾杯!

秒でなくなる一杯目。グラス交換制でなければ最初から2杯頼んでいた(注文のタイムラグすら待てない)。
次々と運ばれてくる、肉、肉、そして肉。ここは桃源郷か。

10代のころより食は細い方だったので、肉の食べ放題など特に行きたいと思ったこともなかった(ちなみに酒は好きだが飲み放題は嫌いである、これは普通のことだ)。
しかし、自転車に乗るようになってからしばらくして食べる量が増えたように思う。こういう体になってしまうと、やはり量がたくさん食べられるお店がありがたく感じる。
定額で酒と肉がどんどん運ばれてくる喜び……なんとも度し難い欲求である。しかし、たまにはこういう浅ましい欲求に身を任せるのも良かろう。
友人の少ない自分である。そんな自分が、自転車を通じて普段から仲良くさせてもらっている人々との会である。楽しくないわけがない。
忘年会って楽しいものだったんだな……。
いつから忘年会が締めだと錯覚して(ry
飲み放題食べ放題の時間制限がきたところで、忘年会はお開きとなった。
どのくらい飲んだが忘れてしまったが、頭がぼんやりしていたのをなんとなく覚えている。kabo氏、Shin氏と別れて、さて自分も帰ろうかと自転車を押していこうとしたところ、おもち氏と373氏がもう1軒行くという。
行き先を聞いて、おそるおそる自分も着いていって良いかと尋ねる。何せ、飲んだ状態では自転車に乗れないからだ。先に行ってもらっても良かったのだが、自転車を押しながら現地まで行きましょうとの声が。有り難い……。
のんびりと自転車を押して歩き、着いた先はこちら。
響 珈琲

大阪のサイクリスト御用達の喫茶店だ。店の前には縦型のサイクルラックがある。

ドアを開けると、サイクリストのマスターがお出迎え。今日のライドのことを話しながら、それぞれ珈琲やケーキを注文する。

飲んだ後に珈琲をいただくのは久しぶりだ。酩酊した頭に珈琲の香りとカフェインが響く。来年もケガなく楽しめれば良いなと思いながら、意識がぼんやりするのを感じた。
(寝てしまったわけではないので念のため)
結びにかえて
1年の締めくくりのライドではあったが、何かコンセプトがあったわけではない。
強いて言えばきついコースの先にあるお楽しみ……などというものではなく、歌謡曲でいうところのサビしかないようなライドにしたいと思っていた。ならば、距離やアップダウンは一定に抑えて、あとはグルメライドにするのが良いだろう、そんなことを思っていたり、いなかったり。
結果として参加者がそれなりに楽しんでもらえたのであれば僥倖である。
ところで……。
一体いつから――――このライドが締めだと錯覚していた?