※お知らせ
この記事は、2021年11月27~28日に実施したゾンビランド佐賀巡礼の旅R(リベンジ)ライドの後半部分について記したものである。
前半部分の記事はこちら。
血と汗とメルヘンを流せ!(森とリスの遊園地 メルヘン村)
午前5時ごろに起床。
ぱっと準備してチェックアウトを済ませ、外へ。かなり寒い。九州であっても寒いものは寒い。
2日目最初の目的地となる嬉野市は伊万里市から南東へ約35km。その後、鹿島市を経て佐賀市内まで行く必要がある。
せっかくなので昨日購入したフランシュシュ4号こと純子ちゃんのキーホルダーを取り付ける。やはり巡礼ライドはこうでなくては。

はあ? なんで私に他の女を乗せるわけ? ばかなのしぬの?
すみません。わたし、もう死んでるんですけど……
これはKeiOSに言ったの。貴女も災難よね。落ちないように気を付けて
あ、ありがとうございます!(恐そうだと思ったけど、実はいい子なのかな?)
ホテル前のコンビニで朝食を買い込んでいると、猫がやってきた。

よくわからんが我が愛車を整備してくれていたらしい。メカニック猫の朝は早い。
ただし近寄ると逃げる。そしてまたやってくる。人間に慣れているのかいないのかよくわからない猫だった。
日の出を確認しながら出発。
さっそく田舎道。

「こんなこともあろうかと」などと言い出しそうな勢いで、きゃぷ氏が音楽をかけ始める。もちろん、BGMはフランシュシュの楽曲だ。
昨日と同じく朝からノリノリで1人歌い始める。テンション高すぎか。

武雄市を越えてさらに進む。アップダウンのおかげで早々に体が温まってきた。


遠くにはプチ雲海が。巡礼スポットに目が行きがちだが、佐賀の自然も悪くない。

嬉野までもうまもなく……といったところで、それは突然に姿を現した。
森とリスの遊園地 メルヘン村



こんなところに遊園地……だと……。
メルヘン村。ゾンビランドサガリベンジの第5話におけるCMアイキャッチで出てくるテーマパークだ。
看板を見て絶句する。

何とも言えぬ昭和サブカルな雰囲気。筋肉少女帯か特撮(バンド)のCDジャケットデザインに出てきそう。
というか、見ていると不安になる。
ふと視線を感じたので振り向くと、そこにはメルヘン村の住人達がこちらを見ていた。


というか、とても不安になる。
昔からテーマパークは狂気と紙一重だと思っている。日常を忘れさせてくれるという性質はケとハレにも似た要素にみえる。
社会的に要請され必要とされた施設として機能するテーマパークは人のストレスを発散させるものであるが、度が過ぎるとそれは日常から断絶した空間となる。
その空間へと誘う動物の顔が既に不気味である。夜に目撃したら間違いなく発狂コース。彼らについて行ったら何をされるか分かったものではない。
公式ホームページは明るい雰囲気なのだが……それも狂気の裏返しだと疑ってしまいそうになる。
(あくまで個人の意見です)
このご時世、テーマパークが残っているだけでも大したものである。引き続き、佐賀県民を狂気に飲み込む楽しませる施設であってほしい。
嬉野のどこにサガがあるんですか!?(嬉野市内(風月堂、湯宿広場その他多数))
メルヘン村のインパクトも冷めやらぬ中、嬉野市に到着。


温泉地として有名な街である。ここは見るべき場所がたくさんあるらしい。
というのも、ゾンビランドサガ(1期)4話の舞台がこの嬉野市なのである。作中ではフランシュシュのメンバーが市内にある多くのスポットを訪れている。
コンビニ休憩を挟んですぐ、最初のスポットにやってきた。豊玉姫神社である。
豊玉姫神社

境内には白なまずの像が。


作中ではこの白なまずに水をかけると美肌になれるというセリフがある。まあ、みんなゾンビなのだけれど。
御祭神・豊玉姫大神は嬉野温泉に鎮座する神であり、肌が美しいことで知られている。その嬉野温泉もまた、美肌の湯として有名だ。
きゃぷ氏もその効果にあやかろうと水をかけていた。
せっかくなので、私も愛車が美肌になれるように優しく水をかけておく。
続けてその近くにある風月堂へ。
風月堂

なかなか年季の入った菓子店である。
作中では店内に陳列された菓子を外からのぞくフランシュシュのメンバー(さくら、サキ、リリィ、たえ)と、そのメンバー達の様子を見つめる純子と夕霧の様子が描かれる。
ちょうど、こんな感じである。

美味しそう……
お前もか
ちょうど開店直後だったので、店内へ。中には洋菓子、和菓子の類いがずらりと並ぶ。確かにどれも美味しそうだ。




せっかくなので、とうふ菓子なるものと紅茶のガレットを購入した。

とうふ菓子は和菓子のテイストで、生地に使われている豆乳の優しい感じと控えめな甘さが良い。紅茶のガレットもついつい手が伸びてしまう安心の味だ。
店内にはお客さんの希望にあわせて作ったデコレーションケーキの写真がいくつも飾ってあった。地元に愛されているお店のようだ。
ほっこりした気分で、すぐ近くにある次のスポットへと向かう。
湯宿広場




ここには足湯と、足蒸し湯なるものがある。嬉野市散策の休憩がてら、フランシュシュのメンバーが利用していた場所だ。
体が温まってきたとはいえ、気温は10度前後。はやる気持ちを抑えて靴下を脱ぎ、まずは足湯にはいる。

温い。とても温い。何気ない公園のような雰囲気のなか、体が足下から温まるのを感じる。
リラックスしていると近所の住人らしきお爺さんがママチャリでやってきて、無言のまま足を入れる。そりゃあ、近くにこんなものがあればふらっと寄ってしまうだろう。
続けて足蒸し湯のほうへ。タイツを膝辺りまで引き上げて、足蒸し器に足をつっこむ。
すると暖かい蒸気が足下からせまってきた。こちらも温い。温泉ミストによる効果で、むさ苦しい足も綺麗になるような気がするぞ。
一度入ってしまったが最後、その温々とした足湯の魔力に絡め取られてしまい、出るに出られない。思いがけずこの場所でまったりと過ごすことになった。
無理矢理足湯から出ると、kabo氏が広場内のある一点を見つめている。
こ、これは!

『佐賀フロンティア』! ではなく『サガフロンティア2』のパネルじゃないか!
しかもナイツ家勢揃いのドット絵だと……。思わずその場で泣き崩れそうになる。
サガフロンティア2

ラベールには申し訳ないが私はコーデリア派なのだ。おそらくスクウェアでヒロイン3人挙げろと言われたら間違いなくその1人に入る。
この日、佐賀ではサガシリーズとのコラボイベントを実施していた。
『ロマンシング佐賀2021』オフラインイベントが11月8日開始(2021年11月8日~2022年2月28日)
このイベントでは佐賀にある3つの温泉地が舞台となっている。それぞれの舞台に10種類のマンホールと、有田焼陶板による3種類のモニュメントが設置されている。
また、それぞれの温泉地ではチェックポイントをまわるラリーを開催。達成すると「ロマ佐賀マンホールステッカー10種セット」がもらえる。
なお、サガシリーズのファンであるkabo氏はこの嬉野市巡礼に平行してちゃっかりとラリーを達成し、ステッカーをゲットしていた。流石である。
近くにある土産物屋に入ると、ここにもサガシリーズのグッズが置いてあった。


ここでグッズに手を出すほどのニワカ野郎ではない。無理して買うのは愚か者のすることである。
などと思い店から出ようとすると、フランシュシュ4号こと純子ちゃんの等身大ポップが目に入る。見れば、写真撮影はお店で何か購入した人限定とあった。
気がつけば、手元にはサガフロンティア2のポストカードがあった。アレー?
ジニー可愛いからね、エッグのしわざだから仕方ないね!(気になる人は『サガフロンティア2』をプレイしよう!)
というわけでお店の人に純子ちゃんポップを出してもらい、撮影。


これもまた巡礼に赴くオタクのサガか……。
店を出て少し進むと、シーボルトの湯が見える。





こちらもゾンビランドサガ(一期)の4話で観光気分のフランシュシュが訪れた場所だ。大正時代にタイムスリップしたかのような外観だが、平成22年にオープンした立派な公衆浴場である。
そのまま、すぐ近くにある塩田川沿いの嬉野温泉公園へ。
入ってすぐに『サガフロンティア』のモニュメントを発見。作中でも屈指の人気を誇るキャラクター、アセルスと白薔薇姫が描かれている。私も好きだ。

公園の側には温泉街を結ぶ川辺が。落ち着いた雰囲気の場所である。

それもそのはず、この場所もゾンビランドサガ(一期)のエンディングテーマ、『光へ』に乗せて流れるカットに使われている。
そのカットに合わせる形で、kabo氏が撮影した1枚がこちら。

写真を通じて、制作陣の佐賀愛に思いを馳せる。
小さな温泉街というイメージの嬉野市。飾らない観光地といった感じの落ち着いた雰囲気が良い。
しかし、ことゾンビランドサガの巡礼地という意味においては唐津市に劣らぬ熱量を持っている。その熱量に負けぬ劣らぬ勢いでサガシリーズイベントをやっているというのがまたにくい。

嬉野市、いつかまた訪れたいものである。
何か掴むってことは、いつだって苦しいもんだ……(祐徳稲荷神社)
大変な満足感を胸に抱いて、嬉野市を離れる。

次の目的地へ向けて再びクランクを回す。
道中、特段見るべきものはない。遙か彼方(佐賀ですらない)の経ヶ岳からから吹き下ろしているように感じるようなそうでもないような風が我々を引き留めている気がする。
否、むしろその風に向かって次の目的地へと進むのだ、風の強い日は嫌いか?
そうして向かった先は、鹿島市である。


ここで見るべきスポットはただひとつ。だが我々にとってはどうしても見逃せない場所だ。

近くに自転車を停めて、ある門前町に入る。
ここはゾンビランドサガリベンジ(2期)伝説の第2話、ホワイト竜との掛け合いで出てきた祐徳稲荷神社だ。
ちなみにホワイト竜とは佐賀出身の俳優、白竜その人である。
それにしてもこの門前町。道は広く、人通りも多い。日本三大稲荷に数えられることもあるそうなので、さもありなん。


通りを歩いていると「稲荷ようかん」なるものが目に入る。せっかくなので皆で一本ずついただく。

紙筒のビジュアルが古い駄菓子を思わせる。底からようかんを押し出し、筒に付いた糸で切りながら食べるスタイルだ。素朴な味が悪くない。
門前町でありながら、そこかしこにゾンビランドサガのポスターやコラボ商品が並ぶ。伝統を重んじる場所はアニメ作品とのコラボを厭うところもあると聞くが、ここ祐徳稲荷神社はこれまで訪れた街と同様、好意的なようだ。

ゾンビランドサガ、本当に地元佐賀から愛されているな。
時刻はちょうどお昼時。ここいらで食事としたいところである。そう思いながらひとつの店へと向かう。
若松屋

ここではちゃんぽんが食べられるらしい。
ちゃんぽんといえば長崎が有名だが、佐賀でもそれなりに取り扱っているらしい。ゾンビランドサガでもCMアイキャッチでちゃんぽんを食べている様子が映し出される。
そんなわけで、佐賀に来たらぜひちゃんぽんを食べたいとぼんやり考えていた。どうやら皆同じことを思っていたようだ。
店内に入り、特製ちゃんぽんなるものを注文。もちろん全員同じオーダーである。
座敷でくつろいでいると、しばらくして注文の品が運ばれてきた。

ちゃんぽん、あまり食べたことがないんだよな……某リン○ーハットにも行ったことがない。
どんな味だっただろうかと思いながら、いざ実食。
美味い。鶏ベースだと思うが、乳白色のスープは程よい塩分で、汗をかいた体に染み渡る。
そのスープに絡む太麺と、刻まれたたっぷりの野菜。ラーメンとは異なるその食感と味がなかなか癖になる。
どの辺が特製だったのかはよくわからないが、なかなか食べ応えのある一杯だ。
……今度リンガー○ットにも行ってみるか。
若松屋、たしかなまんぞくであった。

店を出て門前町を散策しつつ、その先にある有徳稲荷神社へ入る。


大きい。ここまで大きな神社は近畿圏にもそう多くない。

というか高いな! ご丁寧にエレベーターまで設置されている。
七五三でもやっているらしく、境内には着飾った小さなお子達の姿も多い。そして何故かしゃぼん玉のお出迎え。

金がかかっているな。個人的には質素なほうが好きなので華々しい演出は余計に感じるが……。
境内をぐるぐると周りながら、てっぺんにある御本殿へ向かう。

なかなかの見晴らしだ……と思っていたら、どうやら御本殿の裏にある山を登れるらしい。
その先は奥の院。ゾンビランドサガリベンジ(2期)の2話でもホワイト竜と共に訪れていた場所だ。
作中ではあまりの険しい道にホワイト竜は死にかけていたが……。何か掴むってことは、いつだって苦しいもんだ。
どうせそんなに酷い道でもなかろうと思い、足を踏み入れる。


そう思っていたのだが……。


なんだこの道は。足場に岩しかない。
気持ち「階段のように組んでみました」という感じの岩であるが、それゆえにたちが悪い。しかも斜度は強烈で、登るのも一苦労だ。
SPD-SL絶対殺すマンのような道である。SPD-SLのシューズは靴底に対してクリート部分が出っ張っており、基本的に歩きにくい。クリートカバーを付けているとはいえ、これは辛い。
へっぴり腰になりながら登るきゃぷ氏と私。一方、クリート部分が出ていないSPDシューズを履いている坂本氏とkabo氏はすいすいと進んでゆく。
時間をかけてなんとか奥の院にたどり着く。自転車に乗っているよりも多くの汗をかいた気がする。

これはホワイト竜でなくても辛いだろう、周囲を見回すと、披露の色濃い参拝客がそこかしこに座っていた。
しかし、苦労して登っただけのことはある。奥の院から見える景色は格別だ。鹿島の街、そして肥前鹿島の干潟が一望できる。

平たい印象の佐賀だが、それゆえにか、高い場所はどこも景色が良い。
眺望を楽しみながらあまり考えないようにしていたが、当然ながらまたこの酷道を下っていかなくてはならないのである。

流石に滑りそうな気がしたので、帰りはシューズを脱いで下ることにした。
いやいやいやいや、これSPD-SLのシューズでは絶対無理だから!
ひぃひぃ言いながら下界へ戻ってきた。クリート部分の出ていないSPDシューズに変えようかと本気で考えたのは言うまでもない。
まさか佐賀まで来て自転車用品の買い換えを検討することになろうとは。大事なものはいつだって佐賀にあるんだな……。
ねんがんの、カルチャー焼を、てにいれたぞ!(オックスフォード 牛津)
ホワイト竜が有徳稲荷神社に残した佐賀の息吹を感じつつ、我々は出発した。


鹿島市街地を通り過ぎてR444、そしてR207へ。流石にこのあたりは見るべきものがない。

朝から走りっぱなしだったこともあり、心身ともに少し疲れてきた。気持ちとしてはこれ以上無いくらいに楽しいのだが。
R207をまっすぐ進んでもよかったのだが、少し寄り道しようとr339に入る。


湾岸沿いのせいもあってか、どこまでも平地が広がっている。不思議な光景だ。
寄り道を経て再びR207に戻ろうとしたところで、次の目的地が姿を現した。
カルチャー焼き オックスフォード(牛津)



この店もまた、CMアイキャッチで一瞬映るスポットである。世にも珍しい回転焼が食べられるということで、かなり気になっていた。
その珍しい回転焼はこちら。

チキングラタンにめんたいポテト、それに納豆……。
もはやスイーツの類いですらない。回転焼といえば中にあんこやクリームが入っているものだが、ここではなんでも包み込んでしまうらしい。
とりあえず上から全部もらいましょうか。KeiOS、財布の貯蔵量は十分かしら?
全部買えるけど胃の許容量が十分じゃないので勘弁して。というか納豆とかいけるの?
あら、納豆美味しいじゃない。私は気になるのだけど
(この子、食べ物は基本なんでもいけるんだよなあ……)
地元に愛されているお店のようで、我々の前にも数人待ち。並んだところで後からまた数名の客がやってきた。
さて、どれも気になるところだが……。とりあえずベーコンポテトを購入。
いざ実食。
なんとなく想像は付いていたが、やはり妙な食感だ。生地は回転焼、なのに中身はベーコンポテト。見た目に騙されて脳が味を正常に処理してくれない。
とはいえ、味は悪くない。ふとしたときに立ち寄って食べたくなり、そして何度も通っているうちに、いつしか懐かしく感じられるような、そんな一品だ。
どちらかといえば、ベーコンポテトは安全牌だったか(何が)。
たこやきチーズを食したきゃぷ氏によれば、粉モンで粉モンを食すこの感じが悪くないとのこと。概念としては理解できるが、味が想像できない。
カルチャー焼き オックスフォード(牛津)、不思議なまんぞくであった。
ゾンビメタルライブSAGA(ライブハウスSPIRITS、656広場ほか)
R207に戻り、旅の終着地である佐賀市へ突入。

しかし、その佐賀市においてもまだいくつか見るべき場所がある。どうやら最後まで楽しみは尽きないようだ。
嘉瀬川に沿って伸びる自転車道に入る。


しばらくしてkabo氏が停止し、視線を川沿いのほうへと向ける。

ここは確かゾンビランドサガ(1期)の9話で、生前、暴走族レディースチーム「怒羅美」に所属していた2号ことサキがケンカに明け暮れた場所だ。
素朴な景色ではあるが、本編ではここでサキたちに倒された幾人ものレディース達の死屍累々が確認できる。
鉄橋には「WELCOME! BALOON SAGA」の文字。

この辺りではバルーンフェスタが実施されるらしく、その様子はCMアイキャッチで確認することができる。
バルーンフェスタの時期には近くに臨時の駅(バルーンさが駅)も設置されるようで、規模の大きさがうかがえる。
昨日に続き怒羅美になった気分のまま川沿いを離れ、再び道路へ。
そしてついに、佐賀市街へ入った。


だいぶ日が傾いてきた。ここからkabo氏の先導でぱぱっと移動を開始する。
まず最初に見えてきたのは……。
あれは、ライブハウスGEILS!



1期の記念すべき第1話において、何も知らないままGEILSのステージに登る1号ことさくらとゾンビの面々。まだフランシュシュを結成する前のシーンだが、そこで彼女たちは観客をノリノリにさせるヘドバンを披露する。
そして2期の第1でも、原点に立ち返るという意味でライブを行ったのがこの場所だ。唐津駅前と同様に、フランシュシュにとってのスタート地点がこのGEILSなのである。
ところでデスおじAとデスおじBは流石にいないようだ。
ライブハウスGEILSを離れてどんどん佐賀市内の中心へ。r30を下り、回り込むようにして路地に入る。

その先にあったのは、656(ムツゴロウ)広場。


ゾンビランドサガ(1期)の8話で、まさお……ではなく6号こと星川リリィがパピー(父親)の見守る中で歌う場面に出てくる。
普段から催し物が開かれているらしく、この日は似顔絵のブースなどが設置されていた。
奥にはリリィが歌ったステージも健在。その前には客席も設けられており、普通にイベントができそうな感じである。
656広場のあとは佐賀城へ。




門の前にそびえる像は江戸時代末期の大名で肥前佐賀藩の藩主、鍋島直正のものだ。幕末から明治にかけて国を支え、その発展に大きく貢献した「佐賀の七賢人」のひとりとしても有名である。
なお、かの有名な大隈重信や江藤新平なども、この佐賀の七賢人に数えられる。佐賀すごいな……偉人ばかりじゃないか。
ちなみに作中での佐賀城といえば、1期の2話でデス娘ふれあいライブの案内が佐賀城鯱の門の前に貼られているのが確認できる。また、CMアイキャッチでは鍋島直正像の前で遊ぶフランシュシュの姿も見られた。
唐津市に負けず劣らず、佐賀市内にも見るべきスポットが多い。次来るときは佐賀のラジオ局にも入ってみたいものだ(この日は入れなかった)。
さよならなのだ(佐賀県庁(シシリアンライス))
佐賀城をまわったところで、ほぼ日が暮れた。
帰る前に、佐賀で最後の食事を済ませたい。ゾンビランドサガにちなんだもので、かつ佐賀市内で食べられるものは何か。この旅の出発前にそんな話をしていたところ、出てきたのが「シシリアンライス」である。
シシリアンライス。それは平たいライスの上に数種類の野菜と焼肉を盛り付けて、マヨネーズなどをかけた一品である。
ゾンビランドサガの作中で食べられているわけではないのだが、1期の8話で星川リリィの父親、パピーが勤務する会社の社長が毎日注文するメニューとして会話に出てくる。
聞いたことのない名前だったので、どのようなものなのかがずっと気になっていた。
そんなシシリアンライスだが、なんと佐賀県庁で食べられるらしい。
佐賀県庁の敷地内に自転車を停めて、エレベーターで最上階の展望フロアへあがる。
さがんれすとらん 志乃 県庁店

店内に入ると、そこには佐賀市の夜景が広がっていた。

辺りは既に暗いが、それでも市街地の広さが確認できる。まさかこんなシチュエーションで最後の食事を迎えられるとは。
メニューを見るまでもなく、全員シシリアンライスを注文。運ばれてくるまでの間、今回の旅の感想などを言い合いながら時間を潰す。
作品の予習・復習が終わった頃には巡礼への情熱が高まってきたこと、1日目からテンション上がりっぱなしであったこと、想像を超える楽しさであったこと、等々。話題が尽きることはない。
改めて、今回の旅を迎えられたことに感謝する。
しばらくして、注文の品が運ばれてきた。


ごはんものは大抵そうだとわかるビジュアルをしているものだが、ことシシリアンライスに関しては、一見するとただのサラダである。
とてもライスのようにはみえないが……。意を決してスプーンを入れると、底からごはんと肉が出てきた。
さっそく、一口。
美味い! 甘辛く焼かれた佐賀牛と、マヨネーズがかけられたサラダ、それがライスと共に口の中で絶妙なハーモニーを生み出す。
軽くまぶされた塩がシンプルで良きアクセントになり、なんとも言えない旨さだ。
正直、最後の思い出にという位にしか思っていなかったのだが、これは嬉しい誤算である。スプーンを口に運ぶ動作が止まらない。気がつけば完食してしまっていた。
しかし、これをライスとともに食べるという発想が恐れ入る。サラダ部分と肉だけでも十分に美味しいと思われるが、おそらくサラダの域を出るまい。ライスとともに食べることで、完成された佐賀の一品「シシリアンライス」へと変貌を遂げるのだろう。
ドライブイン鳥も美味しかったが、私的にはシシリアンライスのほうが一品としての破壊力は上かもしれない。
夜景とシシリアンライス。旅の最後を綺麗に締めてくれた。
さがんれすとらん志乃県庁店、最高のまんぞくである。
その後、佐賀駅で愛車を輪行袋に収め、大阪へと帰還した。

結びに代えて
ゾンビランドサガを最初に見たのは2018年の10月。当時のアニメの中では異彩を放つ良作であった。リアルタイムで視聴していた時の興奮は今でもなんとなく覚えている。
それから3年後の2021年に、2期が開始。もう3年前の作品ということで、当初は1期の頃のような情熱を持ち合わせていなかったのも確かだ。
しかし、フランシュシュの面々をさらに深掘りしたストーリー、佐賀全体を巻き込んでいく展開に、再び胸が熱くなった。巡礼に際し再び作品を見返した結果、その熱は確かなものとなり、日に日に佐賀へ行くのが楽しみになっていた。
結果はご覧の通りである。文字通り、最高の聖地巡礼となった。
そして、「サガフロンティア」とのコラボにも出会うことができたことは、まさに僥倖であったといえるだろう。
嬉野市でパネルを目撃したときの気持ちを述懐するならば、チェーンソーで神をぶった切った主人公のような気分であり、或いはタイムリープ連発で「ずっと俺のターン!」という気持ちであり、もしくは倒せないはずの村長に千手観音をかましたような気持ちでもあった。つまりは最高だった、ということだ。
奇しくもこの記事を書いている時点において、ゾンビランドサガは映画制作が決定し、サガシリーズにおいても新作の準備があるという。それらが公開される頃には、再び佐賀の地を訪れたいものである。