【大阪】朝食のボリュームに悶絶しながら泉州・堺を廻る【105km】

自転車

前書き

2021年4月22日 木曜日

悩ましい。そのひと言に尽きる。

走りやすい季節なので何処かへ行くべきなのだが、どうにも目的地が決まらない。

惰性でどこか適当に決めても良いのだが、「走らなければ」という義務感が先行するようで嫌だった。

こういう時、誰かの誘いに縋りたくなる。縋るなどと書いたが、私の好きな言葉の一つは「他力本願」だ。

そう思いながら一日の仕事を済ませると、373氏(@m_alice)からメッセージが届いた。土曜日になおっち氏(@_nao_naonao)と走る予定があり、誰かご一緒しませんかとのこと。

渡りに船とはこのことか、二つ返事で参加を希望する。

調整の結果、行き先はちょうど大阪と和歌山の県境、加太のあたりとなった。

お誘いがなかったら週末に夜清滝していたまである。それはそれで魅力的なのだが、やはりライドへに優るものは無い。

加太で海原を臨み、和歌山で美味しいものを食べて帰る。ナイスな展開じゃないか。

このときはそう思っていたのである。

輪行すると言ったな、アレは嘘だ

2021年4月24日 土曜日

午前3時過ぎに起床。もう少しゆっくりしていても良いのだが、相変わらず朝の準備が遅いので仕方ない。

普通、輪行で大阪方面から加太へ向かうなら、こんな時間に起きる必要は無い。というか電車が動いていない。

つまりは往路を自走にしようと思ったわけである。待ち合わせの場所まで約60km。3時間ちょっとあればたどり着けるだろう。

歯を磨きながらTwitterのTLを眺める。この時間はほとんど更新されないだろう……などと思っていたら、373氏が起床した旨を呟いていた。うむ、お主もか。

となると、なおっち氏も自走のような気がした。

サイクリストハミナヘンタイデスネ。私以外は。

午前4時半に出発。既に空の色が変わり始めていた。

R29をひたすら南下してゆくだけの簡単なお仕事だ。

おそらく今まで見た中で最小サイズの道の駅だ。いや、デパート……?

大和川を越える。R24から、さらにR204へ。

時折、経過時間と走行距離を確認し、予定通りに着くかどうかを計算する。グロス17~18km程度で十分に間に合う。

適度に力を抜きつつ、クランクを回す。

出発から2時間ほど。右手にりんくうゲートタワーが見えてきた。この辺まで来ればもう少し、という印象。

左手を見ると、こんな時間から営業している食堂があった。

そういえばお腹が空いたな……。

そんなことを思いながら走り続けていると、羽倉崎の交差点で芥子色のウインドブレーカーをまとったサイクリストが停車していた。

そのRitteの車体を見間違うはずもない。なおっち氏だ。やはり彼女も自走していたらしい。

曇り空では目的地の景色もイマイチではと思い、どうしたものかと考えあぐねていたらしい。

天気予報を見ると今日はほぼ曇り。確かに、この空では加太あたりの海もどんよりとした様子だろう。

さて、どうするか。

中盛りの適切な量とは(ヨッシャ食堂)

幸いにして(?)全員自走で来ているようなので、一度集まって目的地を考え直すことになった。

373氏に連絡を取ると、岸和田のあたりを走っているとのこと。なおっち氏とふたりで来た道を戻ってゆく。

なおっち氏から、朝食でも食べながら考えましょう、との提案が入る。どうやらこの時間から開いている食堂があるらしい。

食堂の名前を聞いて、首をかしげる。ついさっき、何処かで見たような……。

着いた先はこちら。

ヨッシャ食堂 (泉佐野/定食・食堂)
★★★☆☆3.49 ■予算(昼):¥1,000~¥1,999

いや、さっき通り過ぎたところじゃないか!

鳥は三歩進むとものごとを忘れるというが、私の場合は3kmも進まぬうちにそれまでのことを忘れてしまうらしい。

駐車場の空きスペースに自転車を停めて、しばし待つ。やがて373氏も姿を現した。

予期せぬ場所での集合となった。とりあえず皆さん、おはようございます。

まずは腹ごしらえということで、早速店内へ。

カウンターには所狭しとお鉢が並ぶ。どれも美味しそう……。

特に魚の種類が豊富なようだ。唐揚げに天麩羅、塩焼きに西京焼きと、目移りしてしまう。

メインを赤魚の西京焼きに定めると、店員さんからできたての卵焼きはどうかを提案される。

頂きましょう。あとは白米とみそ汁があれば完璧だ。

着席し、注文したものを眺める。

どれもサイズ感おかしくないか……?

特にこの卵焼き。

めちゃくちゃ大きい。写真では少し伝わりにくいかもしれないが、ロールケーキをさらに一回り大きくしたようなサイズである。一体どのくらいの卵を使用しているのだろう。

注文した白ご飯は中サイズ。しかし、想定していた量よりもずいぶん多い。親子丼か牛丼で盛られそうなボリュームだ。

そしてみそ汁。たぶんこの量ならうどんを入れても食べられそう。

しかしまあ、お腹が空いているのは確かだ。

いざ、実食。

美味い。卵焼きはそのサイズ感から大味ではと思っていたが、そんなことはない。ほどよい食感に焼き上げられた卵。そこへ出汁が十分に染み込んでいる。

西京焼きの甘みと味噌の風味も、赤魚との相性バッチリだ。中盛りのご飯が見る間に無くなってゆく。

みそ汁に特筆すべき点はないが、朝から数十キロ走ってきた体にはこの素朴な味が染み渡る。

気がつけば一気に完食していた。

お腹は十分過ぎるほどに満足だが、ほかのメニューも気になってしまう。

R204沿いにこんなお店があるのは知らなかった。この道はどうにも飽きやすいが、次も和歌山方面へ自走するならぜひ訪問したい。

ヨッシャ食堂、たしかなまんぞくであった。

水間観音へお参り

店を出ると、なおっち氏は都合上ここでリタイアするとのこと。

朝食を食べるだけのライドになってしまったが、またご一緒させてもらえれば幸いである。彼女の背中を見送り、373氏とR204を戻ってゆく。

目的地が定まらず、このまま帰るという選択肢もあった。ただ、朝早くからこんなところまで来たこともあり、とんぼ返りは勿体ないという気もしていた。

しかし、この辺りは土地勘もなく、自転車でもほとんど来たことがない。

ただ、ひとつ気になる場所があった。373氏に確認し、そこへ行くことを決める。

二色の浜の交差点で右折。細い府道を進んでいく。

それにしても、一向に日が差す気配がない。雨は降らないようだが……。

何度か道に迷いつつ、川崎リハビリテーション大学のそばをぐるりとまわる。

視界に飛び込んできた線路と併走。その線路は貝塚市を走る水間鉄道のものだ。

1925年(大正14年)創業。単線5.5km、わずか10駅を結ぶローカル鉄道である。南海本線貝塚から連絡し、終点となる水間観音駅まで伸びている。

線路の先に、その水間観音駅があった。

1926年(大正15年)に建てられたこの駅舎は、2021年時点においても建設時の基本構造を維持しているそうだ。

特徴的な駅舎のデザインは、名前の通り水間観音を意識したものだろう。1999年(平成11年)には国の登録有形文化財に登録。翌年となる2000年(平成12年)には第1回近畿の駅百選にも選ばれている。

駅舎に入ると、何ともレトロな雰囲気がお出迎え。

自動改札の類いはないものの、ICカードには対応しているようだ。昔はここで乗車券が切られていたのかもしれない。

特に鉄道ファンというわけではないのだが、一度見てみたいと思っていた場所である。思いがけず辿り着くことができた。

ちなみに水間鉄道の鉄道むすめはこんな娘である。

PU56 水間みつま|キャラクター紹介|鉄道むすめ~鉄道制服コレクション~

可愛い……。

せっかくなので水間寺も見ておこうと思い、駅舎から500mほど北へ走る。

寺伝によると、水間寺は8世紀に聖武天皇の勅命を受けて、かの有名な僧である行基が建立したものらしい。

当時、病床に伏せっていた聖武天皇は、夢の中で奈良より南勢の地にある観世音菩薩像を信仰せよとのお告げを受けた。この観世音菩薩像を探しに水間の地へとやってきたのが、行基である。

8世紀頃の水間の地は、今では想像も付かないような草木深い山間部だったようだ。

葛城の地から溢れる水の間には巨岩があり、行基はそこである老人と出会う。

老人は「汝を待つこと久し」と言って観世音菩薩像を行基に託すと、その姿を龍に変えて飛び立っていった。

後日、行基が聖武天皇へ観世音菩薩像を献上すると、病はたちまちに癒えたそうな。

聖武天皇は観世音菩薩像を現地にて祀るよう、再び行基へ勅命を下す。そうして水間寺が建立され、厄除け観音として庶民にも信仰されるようになった。

水間寺に対して「水間の観音さん」という呼び方が定着しているのは、こうした信仰が親しみとして現れているのだろう。

コロナ禍の影響か、境内にはほとんど人がいない。しかし、近隣住民らしき人が時折やってきては、お堂で手を合わせているのが見える。

正月の時期には参拝客で賑わうと聞くが、こういう静謐な雰囲気で参るのも悪くない。その静謐さを生み出す元凶を思うと、あまり喜べないのだが。

和泉葛城山の気配

水間寺を出ようとしたところで、373氏に呼び止められた。

境内の入り口にこの周辺の地図がかけられている。それによると、この周辺に自転車で周遊できそうなコースがあるらしい。

ぐるっと廻った先から、岸和田市までワープできそうだ。目的のない旅路、どこまでも行き当たりばったりで行こうじゃないか。早速出発する。

実はこのとき、1kmも走らないうちに財布を落とした。後ろを走る373氏が気づいてくれなければ、大変なことになっていただろう。

私自身は無宗教だが、或いは水間寺へのお参りによる御利益だったのかもしれない。

山の方へと向けて車体を走らせる。信号はなく、車もほとんど走っていない。

ルートを見ると、本当にただこの辺りを周遊するだけのようだ。確か、ここは「牛滝蕎原(そぶら)ほの字の里コース 」と呼ばれる場所だ。

たまにロードバイクとすれ違う。どうやら練習に使用しているらしい。どことなく寂しい雰囲気だが、街の喧騒からは離れており悪くない。

ただのんびり走るだけでも楽しめる。373氏と会話できる程度のスピードで緩やかな坂を登ってゆく。

終点に到着。このままR39を北上すれば岸和田の市街地に出られるだろう。

不意に、R40の続く先を見る。山の上は霞がかっている。

確かこの先は、和泉葛城山。

大阪と和歌山の間にそびえ立つ、標高1000m越えの山だ。近畿でも屈指のヒルクライムコースで、頂上へと続く7つのルートを選択できる。

1日に全てのルートを制覇することを「七葛」と呼び、達成した者はひとつだけ願いを叶えることができるとかできないとか……。

目の前に続く道はその7つあるルートの一つ、通称「塔原(とのはら)ルート」のようだ。

和泉葛城山(塔原): 関西ヒルクライムTT 峠資料室
スタート地点:塔原バス停前 養生場橋 ゴール地点 :和泉葛城山 山頂売店前 標高差 :595m  距離 :6.9km 平均斜度:8.6%   最高斜度:約15%? 塔原(とのはら)より和泉葛城山頂に登るルート。別名、本谷林道。 緩急は比較的少なく、10%ほどの勾配でつづら折れを登っていく。 道幅は広くは...

数値だけ見れば十三峠と同じくらいだが、これでも和泉葛城山では楽な部類に入るらしい。

何やら邪悪な気配を感じる気がしなくもなくもない。その気配さえなければ登っても良いんだけどなー残念だなー。

今日は登らずに岸和田方面へと下ることにした。まあ、いずれそのうちに。

スラムユーザーでも巡礼したい

岸和田の市街地に出て、そこからR30に入って北上する。このまま進んでいくと、いずれ堺市に辿り着くだろう。

堺市……堺市なら、おもち氏(@noyuyuya)に何度かエスコートしてもらったことがある。そのときに訪れた場所を373氏に話し、目的地に設定した。

もうじき昼飯時であったが、たいしてカロリーを消費しておらず、朝食はまだ胃に残っている感じがする。やはりあのボリューム感はぱない。

曇り空だが、気温は少し高め。途中のコンビニで今年初のアイスを購入した。

和泉市、高石市を通過し、堺市まで戻ってきた。鳳のショッピングセンター横を過ぎてさらに北へ。

石津川を渡り、大仙公園の手前あたりで左折。堺が誇る日本企業、クボタの工場周辺を走る。

その先には、サイクリストにとって或る意味で聖地と呼べる会社がある。そこが次の目的地だった。

自転車の機構部品におけるシェア世界一。堺が誇るもうひとつの日本企業、シマノだ。

人によっては釣り具メーカーだろ、という声もありそうだが……。

373氏は来たことがないというので、なんとなく連れてきてしまった。私は過去におもち氏のエスコートで訪れている。

そのときの記事はこちら。

前に来たときも同じことを書いているが、私の愛車のコンポーネントはシマノではなく、スラムである。

異教徒ではあるが、巡礼はしても良かろう。まあ、スラムとシマノは互換性が高いということで、見逃してほしい。

その社屋の内には最新コンポーネントの情報の一つや二つ転がっているのではないか、などと邪推する。そろそろスラムと同じ無線変速とか出ないかな。

シマノの敷地をひとしきり外から眺めて、最後の目的地へ向かう。

茶はいいね、リリンが生み出した文化の極みだ(つぼ市製茶本舗)

もはや昼食は要らない。ならばと、最後はお茶で締めることにした。

ここに来てようやく日差しが出てきた。できれば冷たいものが食べたいところだ。

阪堺電車の線路に沿って3kmほど走った先。少なくともその外観は、以前訪れたときと変わらぬ様子であった。

茶寮つぼ市製茶本舗 堺本館 (神明町/日本茶専門店)
★★★☆☆3.60 ■~市中の山居~ 街の喧騒を忘れ、ゆったりとしたひとときを。 ■予算(昼):¥1,000~¥1,999

緑色ののれんが目印だ。さっそく店内に入る。

堺でも屈指の人気店なので、多少の混雑は覚悟していたのだが……。コロナ禍のせいか、すんなりと席へ案内された。

このような店ですら、何らかの影響を受けているらしい。待ち時間無く座れたことが嬉しいような寂しいような。

前回来た時にはかき氷を食べた。流石にこの時期ではまだやっていないだろうと思っていたのだが、メニューを見ると普通に掲載されている。

……かきごお

KeiOS、このパフェが食べたいわ! さあ早く注文しなさい

いや、かき氷を

はあ? あなたおばかさんなのぉ? なんで同じ店に来て、前に食べたものと同じ奴を注文するのよ。当然次は別のやつを食べるに決まってるでしょう? しかも今日はお昼ごはん抜きだし、ここで好きなものを食べさせてもらうんだから!

どうやらお昼ごはんがなかったことで、かなりご立腹のようだ。

まあ、せっかく再訪したのだ。今日は別のものを頼むとしよう。

けれども、パフェ……。人生でパフェ食べた経験なんで数えるくらいしかないんだが。

まあ、甘いものは苦手だが、抹茶はまだ許せる。そう言い訳をしながら373氏とともにパフェを注文。あと、定番かどうかは知らないが玉露をオーダー。

ちなみにかき氷は年中提供されているらしい。「無重力かき氷」と呼ばれるそのふわふわ感を求めて、このお店を訪れる客は多い。

アレは確かに美味しかった。機会があれば一度ご賞味あれ。

しばらくして、注文の品が運ばれてきた。

甘そうという感想はさておき、アシンメトリーな盛り付けに目を奪われる。

とはいえ、まずは玉露から。

小さな器に淹れられたものを手に取る。これは玉露の一番濃い部分を抽出したものらしい。

そっと一口。月並みな表現かもしれないが、その瞬間、玉露の香りが文字通り「爆発」した。

見た目は普通のお茶なのに、ものすごく濃い。いつまでも口の中に玉露が残る。

こんなお茶は初めてである。

玉露の旨味と苦みを感じながら、パフェに手を伸ばす。

美味しい。アイスが口の中でとろけると、抹茶の濃厚な香りが溢れる。ほどよい甘さのおかげで、生クリームや餡子の付け合わせが丁度良いバランスだ。

その下からはほうじ茶ゼリーとミルクゼリーの層がお目見え。これもまた、上層部分の甘さに馴染んだ舌を和ませてくれる。

素材の配置にいたるまでよく考えられたパフェだ。

気がつけば完食していた。盆の上には残ったお茶と、そしてポン酢があった。

急須に入ったお茶の葉は、最後にこのポン酢をかけて食べられるようだ。お茶の葉を食べるというのは初めての経験である。

好奇心を抑えながら、こちらも一口。なんともいえぬ不思議な味だ。

お茶の苦みと、ポン酢の酸味が妙にマッチする。日本酒があれば最高のつまみになりそうだ。

しばらくすると店員さんが、別のお茶と抹茶のクッキーを運んできてくれた。こちらはサービスで提供されたものだ。

最高級の抹茶と、素朴なクッキーの味わい。またもや美味である。

お茶の魅せ方を十二分に理解した品の数々に、完全にノックアウトされてしまった。次もぜひ伺うとしよう。

茶寮つぼ市製茶本舗堺本館、やはりたしかなまんぞくであった。

その後大阪市まで戻り、373氏とともに行きつけの自転車屋に寄ってから、本日のライドは終了となった。

結びに代えて

当初の予定から大幅な変更となったが、なかなかどうして楽しいライドとなった。

おそらく、「決めていない」ということが功を奏したのだろう。たまにはこういうのも悪くない。

泉州や堺の地域は、北摂とはまた異なる懐の深さを感じる。きっと私と愛車を満足させてくれる場所がまだまだあるに違いない。

そして加太。ここもまた、過去に一度しか訪れたことのない場所である。次は海が綺麗に見える日に行きたい。

……和泉葛城山はまだしばらく勘弁だが。。

参考:

水間鉄道株式会社
貝塚〜水間間の鉄道運行および路線バス事業。企業概要、利用案内。
水間寺公式サイト
天台宗別格本山|龍谷山|水間寺
水間鉄道水間駅舎|貝塚市
水間鉄道水間駅舎のページを更新しました。
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