破損したロードバイクを修復する話(その1 フレーム破損の経緯)

自転車

前書き

「ロードバイクが壊れた」。その言葉が意味するところは様々である。

チェーンが曲がった、ディレイラーハンガーが曲がった、クランクがもげた、ブレーキが効かない等々。自転車に限った話ではないが、壊れたという単語はあらゆる箇所の破損を意味する。

いま挙げた例はいずれもパーツ類の故障であり、基本的には交換でもって修理が可能なものばかりだ。ロードバイクの修理とは、主にパーツの交換を意味する(もちろん、そうでないケースもある)。

先日、かくいう私のロードバイクも故障してしまった。ただし、パーツ類の故障では無い。ロードバイクの根幹部分であるフレーム(カーボンフレーム)の破損である。

破損したフレームの交換、それはただの買い換えである。パーツは消耗品の側面が強いので交換しても良いと思うが、流石にフレームの交換は修理とは呼べないだろう。

しかも、年数が経てば経つほど、同じデザイン、同じサイズのフレームを手に入れるのは難しくなる。

フレームに愛着があればあるほど、なんとか「修復」して乗り続けたいと思う。それは、私以外の多くのサイクリストも同じではなかろうか。

この記事は、そんなロードバイクにおけるカーボンフレームの修復についての経緯を記したものである。

なお、徹底して自身の振り返りを目的としたものであるが、こうしてブログに起こす以上、誰かが読むことを拒むものではない。否、むしろ同様の事故に見舞われた人にとって、少しの参考にでもなれば幸いである。

破損の経緯

2022年5月15日 日曜日

その日は奈良までライドに繰り出していた。

全ての行程を終えて、淀川サイクリングロードから帰路に着く。

淀川サイクリングロードは河川敷をそのまま走られる大阪屈指の自転車道であり、道幅がとても広い。京都方面や奈良方面(木津経由)にもアクセスしやすいので、はじめて自転車で遠出したいという人にも使いやすいといえる。

ただひとつ、難点がある。自転車止めの存在だ。

つまりコレのことである。

その形状から着いたあだ名は「メタルクワガタ」。

これが淀川のいたるところに設置してあるので、気持ちよく走れないのである。

このメタルクワガタを越えるには、いちど降車し自転車を押して通るか、軽い車体なら持ち上げて越えるか、或いはペダルから足を片方ないしは両方外してうまく通り抜けるしかない。

事故は、このメタルクワガタによって引き起こされた。

普段の私は、ペダルから両足を外してサドルに跨がったまま、うまくメタルクワガタを通り抜けていた。本当はこれもリスクがあるのだが、今まで自転車とメタルクワガタが接触したことは(ほとんど)無い。

しかし、この日はなぜか片足だけ外して通り抜けようとしたのである。どうして普段と異なるプロセスで越えようと思ったのかはわからないが、単純に疲れていたのだろう。

無論、これまでノーダメージで通り抜けてきたという奢りが、横着な行為に拍車を掛けたのはいうまでもない。

片足を外してひょいっと越えようとした瞬間……。バランスを崩してそのまま立ちゴケ。

こんな場所で立ちゴケしたら……惨状が想像に難くないのはおわかりだろう。結果、フレームがメタルクワガタとその隣のフェンスに接触し、フレームが破損してしまったのである。

表面の塗装はガリガリと削れてしまい、中のカーボンが見えている状態。このような傷がトップチューブとシートステーの2カ所に出来てしまっていた。

私は乗っているフレームに並々ならぬ愛着を持っている。それこそ、愛車に名付けをしたり、イメージイラストを作成してもらったり、という具合に。

それだけに、この傷が出来てしまったときの気持ちは、筆舌に尽くしがたい。

しかし、今から思えば、打ち所が悪ければフレームそのものが破断していた可能性もある。傷が2カ所、破損レベルで済んだのはある意味で奇跡だったのかもしれない。

それでも、傷は傷だ。当時の私に言っても、いや今の自分に言い聞かせてみても、仕方の無いことである。

どうして、という気持ちが消えない。そして、なぜ一時の気の迷いで横着して越えようとしたのか、過去の自分が許せない。いくら後悔しても意味は無いのだが……。

今後、メタルクワガタを越えるときは必ず自転車を一度降りようと、固く心に決めた。

自分の慢心を棚に上げて、声を大にして言いたい。わざわざ税金を使って危険物を設置する意味が分からぬ。メタルクワガタはひとつ残らず滅ぶべし。

そして、あらゆるサイクリストに伝えたい。メタルクワガタを越えるときはかならず降車すべし。慢心ダメ、ゼッタイ。

修復の大まかな流れ

破損した私のフレームはカーボン製である。カーボンフレームはアルミやクロモリと比べても圧倒的に軽くて、剛性に優れている。造形の自由度も高く、デザインしやすいのが特徴だ。

一方で強い衝撃を与えると割れやすいというデメリットを持つ。一度割れたフレームは、破損箇所からいずれ破断する可能性がある。

今回受けたダメージはフレームの表面を削る破損程度だったが、破断のリスクを考慮するとそのまま乗り続けるわけにはいかないだろう。

そこで、修復の方法を考える。カーボンフレームを修復する流れは大まかに次のとおりである。

①カーボン樹脂を乗車可能なレベルにまで修復する。

②修復したカーボンフレームを塗装する。

①はフレームそのものの修復である。破損のレベルにもよるが、カーボン樹脂は修復が可能だ。カーボンを修復する専門の業者に依頼し、直してもらうことになる。

自分で修復するという方法もなくはないようだが……修復のレベルや仕上げを考慮すると、これは選択肢に入らないだろう。大切なフレームだからこそ、お金を出してでも専門の業者にきちんと直してもらいたいと思う。

②は「塗装の役割」がポイントである。

修復したカーボンフレームは、当然ながらカーボン樹脂がむき出しの状態である。塗装はこのカーボン樹脂の上から行う。

塗装は見た目のビジュアルだけではなく、フレームを保護する役割も担っている。したがって、修復においては塗装もセットで考えなくてはならない。

カーボンは基本劣化しないと言われるが、これは厳密には誤りであり、湿気や紫外線の影響を受ける。この湿気や紫外線からカーボンフレームを守るのが塗装の役割だ。

このように聞けば、ロードバイクの室内保管が推奨されるのも頷けるだろう。室内保管は盗難を防ぐだけでは無く、湿気や紫外線からフレームを保護する意味合いもある。

つまり、①においてはカーボン修復の専門業者を、②においては塗装の専門業者を探す必要がある、というわけである。

なお、カーボン修復の業者のなかには塗装も合わせて行ってくれるところもある。しかし、私のフレームは塗装が複雑なので、同じように塗り分けができない可能性があった。

もちろん、単色のフレームや単純な塗り分けのフレームであるなら、合わせて行ってもらえるかどうか相談してみるのも良いだろう。とりあえず、私の場合はこれらの業者を分けて考えることにした。

それでは、保修業者をどのようにして選ぶのか、またどのような塗装を施してもらうのか。これについては次の記事で整理したい。

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