燕雲、初対面の方々とぶらり篠山リハビリライド

自転車

前書き

某日。ようやくうちのロードバイク、燕雲(つばめ)が装いも新たに帰ってきた。

フレームの破損から約10カ月、長い月日であった。

その間に乗り手である私自身もなかなか大きな怪我をしてしまったわけだが。治療はまだ続いているものの、体を動かす分にはもう何の問題もない。

ようやく自身も愛車も復活し、気持ちもあらたにライドへと繰り出せる準備が整った。

さて、最初のライドはどこにしようか……などと考えていると、思いもよらぬ人からDMが届いた。

差出人はヒロスさん(@Yhiros1)。3年くらい前から相互フォローさせて頂いているサイクリストである。

以前に、リプライで愛車が戻ってきたらグルメライドに行きましょうと声をかけてくださっていた。ちょうど今回のタイミングで是非に、というわけだ。

自転車の話題が半分、そしてアニメの話題が半分と、既にSNS上では何度もやりとりしている方である。行きましょうと参加の意を伝えた。

しかし、お会いしたことのない方と走るのは緊張するもの。見知らぬ相手を前にすると、いつ私の口がぼっちちゃんのごとく「いいいいイキってすみません……」とか言い出しかねない。

というわけで。デッキからカードをドロー! 373さん(@m_alice)を召喚!

かくかくしかじかというわけでと相談してみたら、参加できますとの返事があった。

本当にありがとう。373さん、あなたがいなかったらきっとコミュ障発動で始まる前からライドが終わっていたまである。

373さん参加の旨をヒロスさんに伝えると、向こうもあーちゃんさん(@ayasummer)に声かけしました、とのこと。こちらも初対面である。プロフィールを拝見する限り、なかなか走られる方のようだ。

参加者は私を含めて計4名。ルートはヒロスさんが作成してくださった。走行距離は約110km。

久しぶりのロードバイクだが、110kmくらいならまあなんとかなるだろう。いくつかのアップダウンをどこまでこなせるか、それが多少心配ではあるが。

つばめの復帰後初ライドは、こうして幕を開けることとなった。

人見知りが声をかけるのに必要なもの

2023年3月11日 土曜日。

午前6時に起床。

そういえば、この日は東日本大震災の起こった日である。朝、怪我無く事故無く走れますようにと祈ったあと、東の方に向かって軽く手を合わせる。

愛車、つばめの準備は前日までに済ませておいた。ついでに言えば、前週に清滝峠を試走しており、その際に気がついた点を前日までに解消している。準備に抜かりはない。

軽く朝食を済ませたのち、7時30分に出発した。

いちど試走してはいるが、久しぶりであることに変わりは無い。あまりスピードを出し過ぎぬように気を付ける。

工事中の淀川大橋も無理はせずに歩道を徐行で進む。渡りきったところで車道に入り、R2をひたすら西へ。

相変わらず交通量の多い道である。無理にすり抜けをせず、安全第一で走る。

出発して45分ほど。武庫大橋手前にあるデイリーヤマザキが見えてきた。本日の集合場所だ。

近づいてゆくと、SNS上で何度か見かけた車体がある。その前に立っているのがおそらくヒロスさんだろう。

さて、何と声をかけるべきか。

あ、あのKeiOSです。SNSでいつもお世話になっております。本日はライドのお誘い、ありがとうございます。久しぶりのロードバイクなのでどこまでついて行けるか心配ですが、精一杯がんばりますのでよろしくお願いします

仕事人か。オンとオフの使い分けができない人間は嫌われるわよ

ちょりーっす♪ KeiOSでっす! 今日のアテンド、マジ感謝ぱねえっす。うちのつばめっちも昨日から俺と一緒に走れるの超wktkしてたっていうか。110kmバイブスアゲアゲで走りきるんでヨロ!

パリピか。ていうか、別にそんなにwktkとかしてないし……(てれてれ)

脳内で考えること1秒。普通に声かけよう、普通に。

「おはようございます」と声をかける。振り向いた方は私とつばめをみてすぐに合点がいったようだ。どうやら間違いなくヒロスさんらしい。

初対面なので車体見ないとわかんないですよねーとのこと。すごくわかりみが深い。早速うちのつばめをご覧頂く。

しばらくして373さんがやってきた。普段一緒に走っている人が来て何やらほっとする。

そして最後にあーちゃんさんが到着。ヒロスさんと同じように挨拶を交わす。

それにしても、ヒロスさんは黒のS-WORKS。あーちゃんさんはクリーム色に少し近い白のS-WORKS。

SPECIALIZEDが誇るフラグシップモデル、S-WORKSがまさかの2台である。車体から表出される強キャラ感が半端ないぞ。な、なんだこの強大な小宇宙(コスモ)は。光速で動くというのか。

頑張ってついていかなければならん。

覚えていますか、はじめてロードバイクに乗ったときのことを

4人揃ったところで、出発。武庫大橋のたもとから橋の下に降り、武庫川沿いを走るサイクリングロードに入る。

ヒロスさんを先頭に走ることしばらく。すぐに停止のサインが出る。彼の指さす方をみると、そこには菜の花が一面に咲き誇っていた。

写真:373さん
photo by 373

何度か走ったことのある道だが、菜の花が咲いているのは見たことがない。春の訪れを感じさせる景色だ。

さっそく記念撮影。出発して早々、良い感じである。

そのまま武庫川沿いを走ってゆき、突き当たり近くでサイクリングロードから離れて宝塚市内へ。

慣れた感じで先導するヒロスさんについて行くと、何度か見たことのある立体交差が迫る。その先は十万辻か。

過去2回くらいは登ったことがあるが、それほどきつい坂ではない。373さん以外の登攀ペースを知らないので、とりあえずついて行けるところまで追いかける。

というかヒロスさん、普通にアウター縛りで登っている。なにこの剛脚サイクリスト。なんという強大な小宇宙(コス(ry

時折ギアを調整しながら、くるくるとペダルを回す。

なんというか、どのギアでも坂を登るのがやたらと楽しい。長らくクロスバイクやグラベルロードで走っていたせいもあるのだろう、車体の軽さはそれだけで正義だ。

良い感じにペースを維持しながらゴールのトンネル前へ。聞けば目印となっていたバス停は撤去されてしまったらしい。

十万辻といえばこの落書きだが、ここで記念撮影するのは初めてだ。

少し休憩。あーちゃんさんから、ご自身が走られた新潟遠征やハーフエベレスティングの話を伺う。

エベレスティングとは、世界最高峰エベレストの標高8,848と同じ獲得標高に達するまで、ひたすら自転車で坂を上り続けるチャレンジのことだ。

私競技ではなく公式ルールが存在するチャレンジで、同一の坂をひたすら登り返す必要があるなど、いくつかのルールに沿って行わなければならない。記録をeveresthing.ccに提出し、それが認められればエベレスティングの達成者として認定されることとなる。

ハーフエベレスティングはその半分、4,424メートルを獲得標高に設定して同様に行うものだ。

ある程度走ったことのあるサイクリストなら、獲得標高4,424メートルがかなりのものであることは容易にわかるだろう。ルートにもよるだろうが、1日に獲得標高が2,000メートルを越えるライドはそれなりに登ったと感じるはずだ。

しかも、同一の坂で反復して登る必要があるというのがなかなかハードだ。六甲山逆瀬川ルートの場合だと1本の獲得標高が約830メートルなので、少なくとも5本以上登る必要がある。

私がよく行く清滝峠は獲得標高が約225メートルなので、ハーフエベレスティングだと20本、エベレスティングで40本だ。いくら清滝峠をよく登るといっても、流石に一度のチャレンジで20本も登るのはいろんな意味で無理な気がする。

あーちゃんさん、この人も侮れん……。

休憩を終えて十万辻の先へ。r33を進む。

何度か走ったことのある道のはずだが、あまり記憶にない。というか、こんなに道が綺麗だっただろうか。新鮮な気分で走る。

それにしても。戻ってきたつばめを駆りながら、気分が高揚してゆくのが分かる。

当たり前だが、グラベルロードに比べて加速度も最高速度も段違いである。適度にトルクをかけてペダルを踏み込むと、その分だけパワーがダイレクトにスピードへと変換される感じ。

単純にロードバイクから離れていた分、そのスペックを今更ながらに実感している。初めてロードバイクに乗ったときのことを思い出す。

「アクシウム回んねえ……」とか言ってたわよね(冷たい目)

言ってたなあ……正直、(クロスバイクに着けている)ゾンダのほうがめっちゃ加速すると思っていた

ふーんだ。でもこれで私のすごさがあらためてわかったでしょう?

そうだなあ、やっぱblack incにして良かったなあ

むむむ……black incもすごいけど、私だからはやいの!

正直、乗っていてめちゃくちゃ楽しい。速さが純粋な快感になっている。

リハビリのつもりだったので以前のように上手く乗れるか心配していたが、まったくの杞憂だったようだ。開始から40km程度、この先どこまでも走られるような気がする。

宝塚市道1502号線を抜けて、猪ノ倉峠と呼ばれる小さな峠を越える。たぶんこの道は走ったことが無い。

r37に合流して北上。ヒロスさんがつくしの里で休憩していきましょうとのこと。この先にそんなスポットあっただろうか。

……などと思っていたら、あった。

photo by 373

r37は2回くらい走っているはずだが、たぶん今まで素通りしていたのだろう。

小さな道の駅のような雰囲気のスポットだ。サイクルラックが完備されており、トイレが使用可能。食事処のほか草餅やおにぎりなども購入できるようだ。

草餅を1個購入し、いただく。それなりにカロリーを消費しているせいか、素朴な味ながら大変に美味しい。

休憩しながら、自転車談義に花が咲く。初めてお会いする方々ともこうして自然に話せるのは、まさに自転車という共通の趣味があるからだろう。

(ちなみに、つくしの里は2023年8月末で閉店しました。もし、この記事を読まれて同方面へ行こうという方はご注意をば)

つくしの里を離れてさらにr37を北上。直近では昨年、市島製パン研究所へ向かった際にこの道を走っている。

だんだん道が細く、自然ごり押しのような道に入ってゆくはずだが、路面はそれなりに舗装されており走りやすい。

photo by 373

しばらく進むと丹波篠山市の標識が見えた。ここで再び記念撮影。

聞けばヒロスさんもあーちゃんさんも、わりと最近にこの道を走ったそうだ。そのときは雨が降っており、先ほど訪れたつくしの里へ一時避難していたらしい。

丹波篠山市ではあるが、市街地はもっと先の方だ。さらに進み、なだらかな峠を越えてゆく。

みな会話しながらのペースでの登攀だ。余裕あるな……。

頂上らしき地点に到着。以前に来た時に373さんが雪山遊びをしていたのを思い出す

下る前に、ヒロスさんがこの先にあるパン屋に寄りたいという。

こんなところにパン屋……?

下ってすぐの場所に、そのパン屋はあった。

photo by 373

パン工房 のら

パン工房 のら (三田市その他/パン)
★★★☆☆3.40

ヒロスさん曰わく、主にハード系のパンを販売しているらしい。

どれも美味そう。後述する昼食の量を考えると、ここで一品購入しておいても良かったような気がする。

見ればイートインスペースも確保されており、ここで購入したパンを食べられるようだ。

ヒロスさん、ここでサドルバッグに入るサイズのパンを土産として購入。

かくいう私はロードバイクフレームそのものを良く見せたいがために、長らくフレームバッグやサドルバッグの類いを着けていない(ロングライド時は別)。それでも、収納がひとつあるとやはり便利だなと感じることが多い。

パン工房のら、いずれまた来てみようと思う。

下った先でr49に合流し、花のじゅうたんのそばを通り過ぎる。ここも一度くらい来てみたいものだが……。

北上する形で道を進み、r49の急なダウンヒルを慎重にこなしてゆく。

長らく借りていたグラベルロードとは違い、つばめはリムブレーキだ。それでも、デュラエースのリムブレーキと日泉ケーブルのおかげでブレーキの制動力はディスクのそれに勝るとも劣らない。

しかし去年(2022年)の7月に落車で大けがを負って以来、つばめでの大きなダウンヒルははじめてだ。無理して先頭についていこうなどとは思わず、自分のペースでゆっくり下ってゆく。

下った先には丹波篠山市の市街地が広がっていた。本日はここで昼食を取る予定になっているのだが……。

過去に篠山でランチを食べた記憶がほとんどない(メイプルカフェ)

市街地に入ってしばらく。ヒロスさんが停車の指示を出す。

どうやらパンクしたらしい。チューブレスタイヤだったらしく、シーラントがずぶずぶと出てきているのが見えた。

ちなみにシーラントがぶしゃーと出ているのを見ると『エイリアン2』のビショップの最後を思い出すのは私だけですかそうですか。

チューブレスのパンクは補修が面倒だと聞くが……などと思いながら補修の様子を眺めていると、妙な枝のような素材を穴のあいた部分にぶっさして簡易補修を試みていた。

ええええ……そんなので直るのん? と訝しんでいたものの、なんか上手くいったらしくその後も普通に走っていた。こんなに簡単にチューブレスの補修ができるならもっと普及しそうな気もするが……。

まあ、暫くホイールを替えるつもりはないので私には縁の無い話かもしれないが。というか、ここ数年でリムブレーキ仕様のホイールも少なくなってきたのだけれども。

photo by 373

田畑の広がる風景を眺めながら細い道を進んで暫く。本日の目的地が見えてきた。

ルーとこめ

ルーとこめ (篠山市その他/カレー)
★★★☆☆3.05 ■予算(昼):¥1,000~¥1,999

その名のとおり、カレーのお店らしい。

ここまで補給らしき補給は草餅1個であり、お腹と背中がくっつきそうな勢いである(最初のコンビニで補給食をきちんと買っておかなかったのは失態だ)。はやる気持ちを抑えながら店の前にやってくると……。

全然営業しているようには見えず、店内は人っ子一人いない。

よくわからないが今日は営業日ではなかったようだ。あとでSNSのアカウントを確認したところ、3月の営業日は24日と25日のみらしい。

開いていないものは仕方が無いので、ほかのお店を探す。別候補として上がっていたお店が目と鼻の先だったので、そこへ向かう。

ふたばカフェ

ふたばカフェ (篠山口/カフェ)
★★★☆☆3.45 ■予算(昼):¥1,000~¥1,999

もう5年くらい前に一度来たことのある店だ。

店内に入ると、3組待ちとのこと。時間制限は設けていないので、いつ空くかわからないようだ。逡巡したのち、店を後にした。

お店の裏で楽しそうにしている山羊を眺めながら、他の店を探す。

photo by 373
photo by 373

もしかして、この店にしていたら目の前の山羊を食べることになっていたのかしら……(真っ青な顔で)

里山のマタギメニューじゃないんだから

まさか丹波篠山で昼食難民になることなど誰が予想したであろうか。

丹波篠山市、篠山城を中心に歴史のある観光地だと聞く。町家の並びも静謐な雰囲気があり、観光客にも人気なのかもしれない(交通の便はあまりよくないが)。

ランチスポットが賑わっているのもさもありなん、か。

しかし裏を返せば、それなりにお店が多いということでもある。皆で他にどこかないかと探していたところ、ヒロスさんが候補地を挙げてくれた。

早速、その場所へと向かう。

メイプルカフェ

メイプルカフェ (篠山市その他/カフェ)
★★★☆☆3.18

ここも軒先にある駐車場は満杯。これは同じく満席か……?

と思っていたらテラス席なら空いているとのこと。現在の気温は20度近くあり、日差しも温かい。二つ返事で入店した。

photo by 373

店先の庭に自転車を置かせてもらえた。テラス席から目の届く範囲なので安心だ。

ランチタイムにはいくつかのセットメニューがあるようだ。スープセットやカレーセットなどが並ぶなか、ひき肉を使ったさっぱり味のご飯という品が目を惹く。他の面々も同じことを考えていたのか、4人揃ってそれを注文した。

もはや春そのもの……と言いたくなる麗らかな雰囲気に、まったりして待つこと暫く。目当ての品が運ばれてきた。

photo by 373
photo by 373

見た目、野菜炒めをそのままご飯にのっけた感じのビジュアルであるが、所々に塩こしょうやニンニクの欠片が見え隠れするなど、ジャンキーっぽさも備えているようだ。

さっそく一口。

ふむ、悪くない。見た目に反して酸味のあるさっぱりとした味付けだ。それが挽き肉と妙な相性の良さを見せる。

一口サイズにカットしたトマトがその酸味に拍車をかける。白米との食べ合わせを考えるともう少し濃いめの味付けのほうが良いようにも思うが、これはこれで面白い。

空腹のせいもあって一気に平らげてしまった。ご飯大盛りができないか聞いておけば良かったと思う。

過去何度か食べているはずの篠山ランチだが、その実、ほとんど覚えていない。先に訪れたふたばカフェも悪くはなかったはずなのだが。

メイプルカフェの挽き肉ランチ、今度こそ覚えておきたいさっぱりとしたお味だった。

昔は珈琲豆をよく焙煎していた(マグナムコーヒー)

少し遅めの昼食を終えて出発しようとしたところ、373さんのタイヤがパンクしていたことに気がつく。

半分は初対面のグループのはずなのに、パンクの神様に愛されている。パンク修理を手伝いながらそんなことを思う。

それにしても373さんのタイヤはめちゃくちゃ固い。ふだん私が使用しているVittoriaのCORSAなんぞはタイヤレバーがなくとも着脱できるくらい柔らかいのだが。一口にタイヤと言っても色々あるようだ。

最後にヒロスさんの所持していたタイヤレバーも動員してなんとか補修完了。自分の使っているタイヤは暫くこのままでいいか。

丹波篠山の市街地を抜けて、ひたすらR372を東に向かう。

日差しが気持ち良い。というかちょっと暑い。まだ3月だというのに春はどこへいったという感じである。

やがてR173と合流する交差点に差し掛かる。このまま大阪まで戻るのかと思いきや、そうでは無いらしくもう少し東へと進む。

一体何があるのだろうかと思っていたのもつかの間、その店舗が姿を表した。

マグナムコーヒー

マグナムコーヒー (篠山市その他/カフェ)
★★★☆☆3.39 ■オーガニックスペシャルティコーヒー ロースターカフェ ■予算(夜):~¥999

何度か名前を聞いたことのあるカフェだが、訪れたのは今回が初めてだ。こんな場所にあったのか。

店先には面白い形のサイクルラックがある。自転車を停めて店内へ。

photo by 373
photo by 373

内部は土間のような感じとモダンさを融合させたような雰囲気だ。ここまで妙に暑く汗をかいていたので、アイスコーヒーを注文した。

出てきたのはこちら。ジャムか何かのガラス容器に入っている。

photo by 373

冷たいアイスコーヒーを啜りながら、ヒロスさんの語る体幹ペダリングなるものに耳を傾ける。

体幹ペダリングを実践しているアカウントによると、ヒルクライムにおいては体幹は腹部と背部の両方を使うらしく、特に背部のほうが重要らしい。

かくいう私も登攀時の体幹が重要であることは理解しているつもりだが、背部の体幹というのは意識したことが無い。一方で、背筋はれっきとした人間の筋肉である。そこを使うということなのだろうか。

なかなか興味深い話である。

ちなみに私が「ヒルクライムってどうしたら登れるようになりますか」と聞かれたら、おそらく「何度も登りましょう」と言うだろう。登っているうちに、だんだん登れるようになってくる。脳筋か。

私が技術面でアドバイスできるのは、サドルの前のほうに座ること、そして背筋を伸ばして肺面積を広げることくらいである。あとは何度も登っていれば、勝手に体がついてくる。だから脳筋か。

ちなみに清滝峠をTT(タイムトライアル)しているときは技術云々なぞ全く考えておらず、とにかく死ぬ気で登っている。一方で2本目3本目には姿勢やペダリングなどを意識しながら登っている自分がいる。

フィジカルとテクニック、その両方が合わさればさらに登れるようになるのは言うまでも無い。

……などと分かったような語りであるが、かくいう私もヒルクライムは苦手である。

「R173走るくらいならアドベンチャーするね、俺は」

マグナムコーヒーを出て、時刻は16時過ぎ。日が長くなってきたとはいえ、そろそろ帰らなければならない。

ヒロスさんの先導でR173にリターン。

そのまま登るのかと思いきや、脇道へと逸れてゆく。

丹波篠山市と能勢町の境界あたりを結ぶR173の脇道は地図で何度か見たことがある。暫く通行止めだったように記憶してたのだが、入口付近に看板などがないことから通れるようになったのだろう。

さてどんな道だろうと思っていたのだが……これはまた、笑える路面状態だ。

轍らしき跡が残っているのは一部だけで、登れば登るほど地面が落ち葉に覆われて見えなくなってゆく。

路面がウェットでないのだけがまだ救いか。濡れていたらおそらくスリップしていた気がする。

幸いにして斜度はそこまで高くない。なんとかやり過ごしてR173に合流。

なかなかのアドベンチャーであった。それでもまあ、R173の登り基調のトンネルを抜けるよりはマシだろう。

香らん珈ろんへと続くr731を左に見ながらトンネルを抜け、再び脇道に入る。

できるだけR173は走らないというヒロスさんの意気込みを感じる。というか、たぶん私が先頭でもそうする。R173は交通量が多く大型トラックもよく見かけるので、できれば避けたいのだ。

脇道はなかなかの急斜面。昨年7月の事故以来、下りはどうにも苦手だ。しかも今回は久しぶりのロードバイクによるダウンヒル。長らく借りていたグラベルロードに比べると、流石に下りの安定性は分が悪い。

サドルの後ろ側に座り、注意深くスピードを殺しながら下る。とはいっても体に力が入っているのは良くない。お腹のあたりを意識しながら、リラックスした状態を保つ。間違っても、先頭に追いつこうなどと考えてはいけない。

長い長い下りを終えて再びR173に合流。観光センターくるす、ノセボックスを横目に進む。このあたりは昨年(2022年)の10月にだいぶ堪能させてもらった。

そんなことを考えながら下田の交差点まで下りてくると、お淨とるりりんの看板が目に入った。一瞬停まってもらおうかと思ったが、なんとか写真に収めて先を急ぐ。

トンネルの手前で三度脇道へ。R173に一瞬戻り、次は知明湖の脇道を進んで一庫ダムへ。

photo by 373

もう池田の市街地は目と鼻の先だが、ここまで補給らしき補給をしていない。無理せず自販機で小休止。

その後、r12を経由するころにはほぼ日が落ちていた。

普段から前灯、後灯は2つずつ装備しているが、まさか久しぶりのライドで活躍してくれるとは。備えあれば憂い無しである。

無事、池田新町のローソンに到着した。思わずLチキとプロテインで補給。ここで皆それぞれ解散することとなった。

ヒロスさん、あーちゃんさん、ライドにお誘いいただき本当にありがとうございました。またぜひご一緒しましょう。

そして373さん、私の人見知りスキル発動を防いでくれたのはあなたの参加があってこそである。急なお誘いにもかかわらず来ていただき本当にありがとう。

つばめも無事復活しましたので、今後ともよろしくお願いします。

結びに代えて

愛車復活第1回目のライドは、出会いや発見に満ちたものとなった。

人見知りしがちな自分ではあるが、それでも自転車を通じてだとそれなりに話せるらしい。共通の趣味は相手との距離を近くしてくれるようだ。

また、長らくロードバイクから離れていたせいもあるのだろう。久しぶりに乗ったそれは初めてロードバイクに乗ったときの感覚を思い出させてくれたように思う。伸びやかな加速は快感以上の何者でもない。

復帰後初のライドにして、妙にテンションのあがった一日である。早速次はどこへ行こうかと考えている自分に気がつき、思わず口元が綻ぶ。

去年は愛車の破損や自身の怪我に悩まされた。その分、今年はたくさん走りたいと思う。もちろん、安全第一で。

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