前書き
先日(2022年3月某日)、新型コロナウイルスワクチンの3回目接種に行ってきた。
2回目接種のときはそれなりに副反応が生じたので今回も覚悟していたのだが、案の定、似たような症状に見舞われる。
熱はそれほど出なかったものの、倦怠感が酷い。結局、その週は自転車に乗ることができなかった。
数日後には全快し、さーて今週こそどこかに走りに行くぞと思っていたのだが、ひとつ心配事が残る。
ワクチン接種による副反応のせいか、接種後しばらくは運動するとやたら疲れやすい気がするのである。
特に、2回目接種のときはこの症状が顕著だった。軽くランニングしているだけのつもりが、やたらと息切れする。妙な疲労感は1カ月近くも続いた。
今回も似たような症状が出るのではないか。そう考えると走りにいくのが少し気後れする。
リハビリがてら、しばらくひとりで清滝峠をのんびり登るか……。だが、ようやく寒さが和らぎ、春の気配が感じられるというのに、それは少し寂しい気もする。せっかくなので、春らしいライドがしたい。
そんなことを考えていたら、373氏(@m_alice)からDMが届いた。
月ヶ瀬梅林へ行きませんか、ですって
最近TL上でよく見るあれか。梅の花満開のやつ
春らしいライドになりそうじゃない。距離もそう長くないし、リハビリがてら行ってみましょうよ
つばめが珍しく優しい……とりあえず行ってみるか。ちなみに昼食は焼肉だそうだ
前言撤回。リハビリなんて軽い気持ちではダメよ。必ず目的地にたどり着きなさい
ええ……さっきの優しい態度はどこへ
焼肉♪ 焼肉♪
渡りに船とはこのことだ。有り難く373さんのお誘いに乗ることにした。
今回の参加者はこちら
がむが(@AlienA0V0)
坂本(@skmt_fact)
373(@m_alice)
KeiOS(@kei_os_)
かくして、リハビリと称した春一番のライドが始まる。
走る前からパンクの神様に愛される
2022年3月20日 日曜日
午前4時半に起床。
いや、早すぎる。本当は6時起きのつもりだったのだが……。
まあいいかと起き上がりスマホをのぞくと、がむが氏からメッセージが届いていた。
室内保管していたタイヤが夜中に突然パンクしたとのこと。いったい、どういうことだってばよ。
室内保管で急にパンクするなんてあるのか。普通、放置したタイヤの空気圧は自然と下がってゆくものだが……。
だが、調べてみると似たような事例が結構あったりなかったりするらしい。
換えのチューブは複数本持っているので、その旨を返信。集合場所近くの駅まで輪行で来てもらうことになった
準備を済ませて、7時少し前に出発。
城北公園通を経てR1に入り、守口のあたりで京阪沿線に並走する。
そこからR163に合流。清滝峠へアクセスするときの鉄板ルートだ。片道ほぼ1時間で着ける。
清滝峠の手前で右折し、JR四条畷駅へ。ほどなくして、がむが氏が駅から姿を現した。
さっそくタイヤの状態を確認……まぎれもなくパンクである。チューブを引き抜くと、バルブの近くに小さな穴が開いているのを見つけた。
タイヤ自体に目立った外傷はないようだ。チューブの初期不良だったのかもしれない。
チューブを交換し、空気を入れる。その間に坂本氏、373氏も合流した。
それにしても、走る前からパンクに見舞われたというのは初めて聞いた。がむが氏、ロードバイクに乗り始めて早々パンクの神様に愛されているようだ。
かくいう私はここしばらくパンクしたことがない。チューブの経年劣化が原因としてあり得るのなら、そろそろ危ないかも……。
交換用チューブは今後も必ず携行しておこう、と心に決める。
「副反応なんてなかった、いいね?」
JR四条畷駅を離れて、まずは清滝峠へ。
過去150回以上は登っているが、登る度に課題が見つかっている気がする。これからも通える限り登り続けるのだろう。
1人のときは全力で登るが、今日はグループライドなので幾分ペースを落とす。
とはいえ、今日はリハビリも兼ねたライドだ。どのくらい走れそうかを確認するため、葛籠折れの手前からちょっと踏み込んでみた。
意外に足は回る。葛籠折れでフロントギアをアウターに戻しても、なんとか最後まで踏み込めた。この調子なら大丈夫そうだ。
清滝峠を下り、R163を東に進む。ここから木津あたりまではゆるやかな下り基調で走りやすい。ほとんどワープのような感覚だ。
木津に到着。泉大橋を渡って、さらにR163を進む。
R163は苦手だという人も多い。道幅が少し狭く、そのわりに交通量が多い。
だが、信号がほとんどないのでスムーズに走ることができる。木津川沿いに沿って広がる景色も悪くない。
しかし、この日はいささか交通量が多い気がした。みんなそんなに梅林好きなの?(絶対違う)
まあ、寒さも大分緩んできた。自粛期間も長かったことだし、誰もが外へ出たいのだろう。
京都府下唯一の村、南山城村に入る。京都府の最南端に位置する自治体であり、三重県伊賀市、奈良県奈良市、滋賀県甲賀市とも隣接している。
村に入りしばらくアップダウンをこなした先に、道の駅みなみやましろ村があった。
集合地点から約40km。ここまで結構良いペースで走ってきた。無理せず少し休憩をとる。
副反応の影響による疲労は感じられない。体調は問題なさそうだ。むしろ絶好調な感じがする。
このまま梅林まで一気に進んでしまおう。
梅林、高くね?
道の駅を出発。JR月ヶ瀬口駅のすぐ側を通り過ぎて、木津川を越える。
ゆるやかな登り。道の端々に茶畑が広がっている。南山城村は宇治茶の栽培が盛んであり、この辺りにも茶畑が広がっているようだ。
ちなみに宇治茶、静岡茶、狭山茶の3つを指して「日本三大茶」と言われる。宇治茶、あまり飲んだことがない気がするな……自分で買うこともないのでさもありなん。
登りをこなした先で、奈良市に突入。
方角としては三重に向かっているような感じだったので、ここで奈良というのはなんとも不思議な気分だ。ちょうど月ヶ瀬口のあたりは奈良の北端に接しており、三重とのすぐ近くでもある。
そのすぐ先に、道に沿って咲き誇る梅の木々と、「月ヶ瀬梅渓」の標示が見えた。
景色からして春の雰囲気。奈良市は鹿と寺の他に、梅のスポットを隠し持っていた。
月ヶ瀬梅林はもう少しだけ南側にあるようだ。やたらと急な下り坂をこなして、その場所へと向かう。
意外に車が多い。やはり皆、梅林を見に来たのだろうか。
道沿いから伸びる梅林の入口を発見。人が二人すれ違うのがやっとの道幅である。なんとかロードバイクを押して上がれるだろうか。そう思っていたのだが……。
押して上がれなくはないが、正直きつい。途中、何度戻ろうと思ったか。
梅林ってどこもこんな場所にあるの?
いや、そんな風に聞いたことはないんだが……
それでも。この先に梅林があるのだと思い、車体を押しながら登る。
うーむ、もっと満開の梅が視界いっぱいに広がるのを想像していたのだけれども。
既に散ってしまっているのか、ぽつぽつとまばらに咲いているような印象。一応、それなりに咲いているところをシャッターに収めてゆく。
これは期待外れだったかと思いながら、さらに登ってゆくと……。
あら、この辺りは結構咲いているようね
とりあえずは梅林という感じの景色だな
頂上らしき場所までやってきて、満開の梅が並ぶのを目にする。
春だなあ、という雰囲気。しかし、もっとこう梅の絨毯みたいなものを思い浮かべていたので、肩すかしであるのは否めない。日が違えばまた印象も異なるのだろうか。
それでもまあ、季節の訪れを感じることができたのは確かだ。
というか月ヶ瀬梅林、結構高い場所にあるんだな……。なんかこう、もっと平坦な場所にあるのだと思っていた。正直、今日一番登っている感じがある。
ひとしきり梅を愛でたあと、登ってきた道とは逆方向へと下ってゆく。こちらのほうが人が多い。
それもそのはず、細い道に沿って梅のアーチができており、隙間には観光客向けの店が並んでいる。どうやらこちらが本来のルートだったようだ。
あと、犬を連れてきている人を多く見かける。梅林に犬、イエスだね。モッフモフだね。犬が苦手なうちのつばめを宥めるは大変だったが。
いずれにしても、梅を愛でるのは難しいのだと思い知るのであった。
花より団子、梅より肉(伊賀牛 奥田)
月ヶ瀬梅林を抜けて道路に合流。名張川沿いにr4を走り、名張方面へと向かう。
川沿いにも梅の木々が並ぶ。さっきの厳しい登りを思うと、川沿いに梅を愛でていたほうが正解のように思う。
r4からR25に入ったが、当初引いていたルートとは違っていたらしい。途中でr80に入り方向修正。
しかし、名張までは平坦あるいは下り基調だと思っていたのだが……、結構登らされる。名張川沿いならもう少しマシだったのかもしれないが。
わりと足に疲労が溜まっていたが、名張までならどうにか耐えられるだろう。無理せず、けれども一定以上のペースで登りをこなしながら進む。
そうして走ること数十分。三重県名張市の標識が見えてきた。
なんだか見覚えのある景色だと思っていたが、この自販機を見て思い出した。
この道は以前に373氏と曽爾高原へ行く途中に走った道だ。その際、ハンガーノック気味になっていたところをこの自販機に救われている。
あれは過酷なライドだった……。曽爾高原へ行くこと自体はそう辛くはなかったのだが、帰り道でルートの設定を誤り、やたらときつい復路になってしまった。
ここ暫く、ああいう無茶なライドをしなくなった。それだけ経験を積んだということなのかもしれないが……。一方で、そういう無茶のほうが記憶に残っているのも確かだ。
たまには向こう見ずなライドもやってみるか……などと思いながら、名張市街地に突入した。
既に空腹オブ空腹である。名張市はそれなりの規模の街で、食べる場所には事欠かない。
だが、今回は焼肉だ。予め調べていた店へとまっすぐに向かう。
その店は名張市外地のほぼ中心にあった。
名張市は伊賀に近いせいか、この店では伊賀牛による焼肉を提供している。
ちなみに伊賀牛はその名の通り伊賀のブランド牛肉である。黒毛和種の牝の未経産牛で、かつ伊賀市・名張市で肥育されたものに限られるようだ。
伊賀牛の消費はほぼ伊賀市か名張市に限られており、外に出回ることが殆どないので、幻の牛肉と呼ばれることもあるようだ。
同じく三重の鉄板ブランド・松阪牛と比べても遜色ないと言われることのある伊賀牛。せっかくだから、俺はこの伊賀牛を選ぶぜ!
というわけで、数あるランチメニューの中から桔梗ランチを選択。赤身もも、中落ちカルビ、骨付きカルビ、鶏もも、豚バラのセットだ。
注文して待つこと数分。運ばれてきたのがこちらである。
わりと赤身が多いようだ。こと奥田では赤身の入った伊賀牛が一押しらしい。高級肉は霜降りと思われがちだが……果たして奥田の伊賀牛、その味やいかに。
めいめい肉を焼き始める。まずは赤身ももと中落ちカルビから。
さっと焼いて、一口。
う、美味い……。赤身なのにとろけるような食感。そして確かな歯ごたえ。口のなかで牛肉の旨味があふれ出す。
白米を我慢する必要がどこにあるのか。初手にして肉と白米をただ口に運ぶだけのマシーンと化す。
続けて骨付きカルビ、定番の一品だ。味噌タレでジャンキーに食すも、和風タレで食すも良し。食べにくさよりも焼肉食べてるという感覚のほうが勝る。
鶏もも、豚バラは箸休めのつもりだったが、どちらも新鮮でこれまた美味しい。
気がつけば白米を大盛りでおかわり。それでも米が足りなくなるところだった。
はあ……幸せ
最近、焼肉食べたいと思ってたところだったんだよな。もし今日この瞬間がなければ仕事帰りに一人焼肉でくいっと飲んでるところだった
却下よ。私のいないところで一人焼肉とか、お天道様はお見通しなんだから!
べつに見通されても構わん行為だと思うのだが……
肉と白米の競演でお腹も心も十分に満たされた。これだから焼肉はやめられない。
奥田、たしかなまんぞくであった。
結びに代えて
門限があったので、その後は近鉄名張駅から帰還。さくっと回るライドとなった。
それにしても、梅を愛でるのは難しいと思わせるライドであった。スポットとして選んだ場所が月ヶ瀬梅林だったからなのか。他の梅林はまた違う印象を与えてくれるものなのか。
桜や桃にくらべると色鮮やかな花をつける梅。たぶん自分が知らないだけで、本当はもっと美しい梅林がこの世にはあるのだと思う。
そういえば、梅を見に行くライドというのは今回が初めてだった気がする。来年はあらかじめ計画立ててその美しさを目に焼き付けたいものだ。
梅ライドのリベンジを心に誓う。